Magic Leapが調達した23億ドル(約2570億円)で生み出す魔法の正体と、同社初のヘッドセット「Magic Leap One」がその魔法の威力をどれだけ発揮できるのかを確認するために、私たちはもう4年弱も待ち続けてきた。
Magic Leapは米国時間7月11日、(相変わらずMagic Leap Oneに関する多くの謎を残しつつも)発売時期を明らかにした。Magic Leap Oneは2018年夏に開発者エディションが出荷開始されるという。
Magic Leapは、Twitch上で3回目となるライブ配信を実施した(興味のある方はリプレイ動画を視聴することもできる)。今回は本物のデモを用意したと同社は述べている。同社はこのライブストリーム前に投稿したツイートで、「Magic Leap Oneの仕様について、その一部を解説するとともに、間もなく公開予定の開発者向けサンプルのデモも披露する予定だ」と述べていた。
また、ライブストリームが行われた11日、AT&TがMagic Leapの製品を米国で独占的に販売することを発表した。
同社はこのライブストリームにあたって公開したメッセージで、「このデバイスは米連邦通信委員会(FCC)の規定で必要とされている承認をまだ得ていない」とも述べている。「承認を得られるまで、このデバイスが販売やリースのために提供されたり、販売またはリースされたりすることはない」という。
Magic Leapはこれまで、技術的な情報をあまり明らかにしてこなかったが、ようやく搭載予定のプロセッサについて説明した。具体的には、NVIDIAのシステムオンチップ「Tegra X2」を搭載するという。
また、このデバイスは、「他のシステムから多くのパーツを取り入れた」64ビット版Linuxベースのオペレーティングシステムを使用しているという。Magic Leapは開発者に対し、自前のゲームエンジンを構築する場合は、低レベルグラフィックスAPIである「Vulkan」を利用するよう推奨している。
ただし、Magic Leapは電力消費に関する質問に対しては、バッテリ効率を上げられるかどうかはソフトウェア開発者次第だと述べるなど、明確には回答しなかった。同社は以前、バッテリ駆動時間は「数時間」になるだろうと説明していた。
Magic Leapが披露したデモは、残念ながらあらかじめ録画されたものだった。映像の内容は、現実世界のリビングで、人の手で「つまむ」ジェスチャーをして、デジタルオブジェクトを登場させるというものだった。操作が可能な範囲を示すのには、球形でメッシュ表示のあるグリッドが使われていた。
Magic Leap Oneは、ほかのARと同様にソファやテーブルといった水平面を検知し、デジタルオブジェクトを現実世界に違和感なく配置できるようだ。置かれたデジタルオブジェクトは上空にぎこちなく浮かんでいるのではなく、家具の上にきちんと置いてあるように見えていた。
Magic Leapによると、実際のAR映像には、今回デモとして公開された2D動画ではわからない部分があるという。デモ映像では、小さなキャラクターが見ている人に向かって岩を投げつける場面があったが、Magic Leap Oneを装着すれば、音と映像を3Dで体験できるという。これはMagic Leap Oneが左右の目に別の画像を表示し、なおかつ空間オーディオ機能を搭載しているために可能になったものだ。
また、Magic Leap Oneを装着していれば、体を左右に動かしたり、手で防いだりして、投げられた岩を実際によけることができる。Magic Leap Oneは一部のハイエンドVRヘッドセットと同様に、自由度6のセンサと、手を追跡するカメラを内蔵している。
Road to VRで、デモの一部の動画が公開されている。
今回のライブストリームで、Magic Leapの開発元は、現時点での技術の制約についても率直に語った。まず、レンズは暗くできるが、完全に不透明にはならないという。そのため、ARではない、完全没入型のVRゲームは、Magic Leap Oneでは提供できない可能性もある。このデバイスでは、現実世界がある程度は見える状態になる。
またMagic Leapによると、バーチャルオブジェクトやゴーレムのようなかわいいキャラクターに近づける距離についても限界があり、近づきすぎるとオブジェクトをすり抜けてしまう場合があるようだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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