近い将来、テクノロジで強化された包帯が登場するかもしれない。
米タフツ大学の研究者らは米国時間7月6日、慢性創傷を監視し、薬物治療を施して治癒を促進することのできるスマート包帯の試作品を披露した。これが実用化されれば、包帯は受動的な治療から、能動的な治療の一部へと変わるだろう。
この包帯には、加熱する要素のほか、感染と炎症を追跡するpHセンサと温度センサが組み込まれており、それらのセンサの測定結果に基づいて適切な薬物治療を施すことができる。
タフツ大学工学部の電子工学とコンピュータ工学の教授で、この調査の共同執筆者であるSameer Sonkusale氏は声明の中で、「フレキシブルエレクトロニクスの出現のおかげで、われわれは包帯に対する新しいアプローチをとることができた。フレキシブルエレクトロニクスはさまざまなウェアラブル医療機器を可能にしてきたが、包帯は医学の初期の頃からほとんど変わっていない」と述べた。
糖尿病や火傷などの病状は、慢性皮膚創傷を引き起こし、感染や切断につながることも多い。最近の調査によると、メディケア受給者の約15%は少なくとも1種類の慢性創傷または感染症を抱えていたという。こうした患者は高齢であることが多く、自力で手当てをすることが難しいこともある。スマート包帯が実用化されれば、このような状況は一変するかもしれない。
この包帯がこれほど「スマート」なのは、pHセンサと温度センサが組み込まれているからだ。pHは慢性創傷の治癒過程を監視するうえで重要だ。正常な治癒創のpH範囲は5.5~6.5だが、治癒しない感染創のpHは6.5より大きい。さらに、温度は創傷内とその周囲の炎症の状態を示す優れた指標だ。この包帯に組み込まれたセンサは、これらの状態を監視するのに役立つ。
マイクロプロセッサが、センサから出力されるデータを読み取る。治癒過程を促進できる場合は、薬剤キャリアが薬を放出する。
この全てを透明の医療用テープに取り付けることで、厚さ3mm以下の柔軟な包帯が完成した。
この包帯は生体外のテストで成功を収めた。治癒の促進に関して、このスマート包帯が従来の包帯や創傷ケア製品より臨床的に優れているかどうかを確認するため、現在、前臨床研究が進められている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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