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新規事業を生み出す力は「想い」--ライオンが目指すイノベーション創生 - (page 2)

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――既にいくつかのアイデアが具現化しつつあると聞いてます。SAPとの協業「オーラルcare×アスリート」はどのような過程で生まれたのでしょう。

  • イノベーションラボの概要を示すポスター

 ご承知のとおりSAPは、デザインシンキングをベースに、イノベーションを実施する土壌の創生を目指す企業です。私はERPというよりもデザインシンキングの企業というイメージを持っていました。ラボメンバーもSAPが開催するデザインシンキングワークショップに参加し、アイデアのブラッシュアップや、簡易的なプロトタイプの作成に至りました。

 「噛む」ことと最大筋力の関係に注目し、かみ合わせを改善するマウスピースにセンサーを組み込み、スポーツ選手のパフォーマンスを計測します。現時点ではプロトタイプのため、ある程度の形になってからビジネスモデルの話になる予定です。

 現在は「ビジネスになるのか」と尋ねるような役員はおらず、新たな取り組みを面白がってくれます。我々の存在理由は「今までのライオンとは違うね」と言わせるアイデアを具現化し、アウトプットすることにあります。もちろん社外だけではなく、社内に対するアピールも欠かせません。本ラボは、ライオンが変わろうとしている意思を社内外に示す部所でありたいと考えています。

――社内で、イノベーションラボはどのように見られてますか。

 異質な存在と見られてるでしょう。研究開発本部は全員白衣を着用しますが、我々ラボメンバーは私服に独自のジャケットを羽織ります。うれしかったのは営業部門が好意的な意見を述べてくれる点でした。後述する「口臭ケアサポートアプリ」はまだアイデアレベルですが、記者発表をしたところ営業の現場でドラッグストアや大手スーパーなどのバイヤーと話をする際、先方からお話をいただくことがあるようです。

――その「口臭ケアサポートアプリ」とは?

 スマートフォンのカメラで舌を撮影し、その画像データを弊社開発の独自アルゴリズムで分析し、口臭を可視化するアプリです。舌の色と口臭強度の関連を人工知能で判定し、将来的には弊社製品のリコメンドなどにつながると面白いでしょう。

 弊社はNONIO(ノニオ)という口臭予防ブランドを展開していますが、口臭ケアに対してもっとできることがあると思っています。実際に顧客アンケートを実施すると、口臭を気にする方は非常に多く、さらに他人の口臭、たとえば応対する店員の口臭が気になる場面も少なくありません。接客サービスなど人と接する場面の需要は高く、これまでなら新しい歯磨き剤開発でしたが、ラボではアプリを開発することになりました。

――アイデアレベルでも構わないので、現在進めているプロジェクトを教えもらえますか。

 まず「家族間コミュニケーション」です。いくつかのテーマで共通課題となりますが、家族間のコミュニケーションで笑顔を増やせないかと考えています。小さいお子さんがいる家庭は母親の負担が大きく、父親もどのようにフォローしていいのか分からない。このような行き違いを解決したいと思っています。

 私の母親は京都に住んでいますが、子どもとしては親の健康が心配です。だからと言って大げさにせず簡単に心配を解消できないか、と。まだまだソリューションレベルに達していません。また、健康状態というよりも精神的な部分が大きく、ヘルスケアという概念から逸脱しますが、包括的な世界観をソリューションとして解決できないかと思案中です。複数サービスの組み合わせや、他社との協業もあるかも知れません。この分野は大きな需要があります。顧客は確実に存在し、課題を抱えているのは事実でしょう。それだけに挑戦しがいがあります。

 また、弊社は健康食品を扱っていますが、我々ラボでは睡眠環境の改善に注目しています。既に多くのソリューションが存在しますが、異なるアプローチで「睡眠関連ビジネス」に対しても、何かできるのではないかと思っています。さまざまなバックボーンを持つメンバーがいますので、たとえば住空間を快適にする手法で睡眠改善を実現できないか、という提案もひとつの候補です。

――社内外を巻き込んだ取り組みがあれば教えてください。

 各大学との取り組みも進めています。大学生と共にワークショップの開催を6月からスタートしました。私が期待しているのは学生ならではの自由な発想です。われわれラボメンバーは比較的若いものの、やはり社会人のため、妙な縛りや忖度(そんたく)が生じますが、学生は良い意味で何も縛られていません。そんな方々とワークショップを実施することで、新たなものが生まれないか、良い刺激を得られないかを主な目的としています。

 似た取り組みとして弊社は新入社員研修の1つに、人事部が「フレッシュマンチャレンジカップ」を実施してきました。4月に入社したばかりの新人がビジネスプランをまとめ、5月末に発表するというものです。私も審査員として参加しましたが、実に驚かされました。われわれが数カ月かけて考えたアイデアが、「ポンッ」と出てきます。デジタルネイティブ世代とはよく言ったものですが、発想能力はわれわれと変わりません。いつのまにか審査時はついつい本気で質問してしまいました(笑)。このような期待を込めてさまざまなワークショップを開催しています。

――最後に一言お願いします。

 メンバーのおかげで比較的早いペースでアイデアを量産できるようになりました。次は事業の組み立てが大きなハードルとなりますが、成功事例を作り出さなければ、出発点にも突破口にもなりません。皆初めてのチャレンジなので不安を感じていますが、1つの道標として事業創生を目指します。

 それを実現する底力となるのは「想い」です。どれだけ熱く取り組めるか。それにすべてがかかっています。

「成功事例を作り出さなければ、出発点にも突破口にもなりません。それを実現するそこ時からは“想い”」と宇野大介氏
「成功事例を作り出さなければ、出発点にも突破口にもなりません。それを実現する底力は“想い”」と宇野大介氏

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