盗難は、将来有望な新興企業にとっては悪夢だが、仮想通貨の業界ではよくある問題だ。しかも、Taylorを標的にしたとみられる攻撃者は容赦しなかった。
Taylorは、仮想通貨取引専用アプリの設計とリリースを通じて、仮想通貨取引所とモバイル技術の橋渡しを目指している新興企業だ。
Taylorは、スマートな仮想通貨取引アシスタント「Taylor」を開発したとして、「日々利益を上げるのに役立つ使いやすいアプリ」とアピールしている。
しかし、このプロジェクトは攻撃を受けて台無しになり、Taylorが取り扱う仮想通貨はすべて流出した。
攻撃は、米国時間5月22日に起きたとみられる。TaylorはMediumでのブログ記事の中で、「すべての資金が盗まれた。イーサリアム(Ethereum:ETH)での残高(2578.98ETH)だけでなく、チーム(Team)およびバウンティ(Bounty)プールのTAYトークンもだ」と述べた。
これは、約150万ドル(約1億6000万円)に相当する。
ただし、Taylorによると資金の一部は盗まれておらず、これらの資金はファウンダー(Founders)およびアドバイザー(Advisors)プールに保管されていて、権利確定契約によってロックされていたという。
Taylorによると、現在調査が進められているが、この攻撃で脅威をもたらした実行犯は、CypheriumChainを狙ったと報じられたサイバー攻撃と関連のある犯人と同じ可能性があるという。
Taylorは、このような攻撃を防ぐセキュリティ対策を施していたと主張するが、そうした対策は役に立たなかったようだ。同社は、「われわれは適切な慣行を十分に認識していたが、いくつかの非常に重要な細部については軽視していたかもしれないことを認める」と述べた。
Taylorは今回の事件について、「極めて高度で組織的な攻撃」のように思われると述べたが、それ以上の詳細は明らかにしていない。
分散型取引所IDEXで、TAYトークンの市場はクローズしている。Taylorのチームは、盗まれた資金をIDEXで売却しようとする試みを確認したので、自ら取引停止を申請したという。
「われわれは、この不運な事件を克服して、さらに大きく強く成長するため最善を尽くす所存であり、そのため皆の支援はTaylorの成功にとってこの上なく重要となる」(Taylor)
「今回の事件が正規のトークン保有者1人1人にもたらす影響を抑える方法を見出すため、努力を惜しまないことを保証する」(Taylor)
Taylorは、支援者に送付した公開書簡の中で、最新の情報として2万5000ドル(約272万円)しか手元に残っていないと述べており、今後について再考する必要に迫られている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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