Bill Gates氏は米国時間5月21日、今年の夏に読むべき書籍5冊を自身のブログ「GatesNotes」で公開した。リストの内訳はノンフィクション4冊と、評判の高い小説1冊だ。
唯一リスト入りした小説は、George Saunders氏の「Lincoln in the Bardo」だ(bardo(中有)とはチベット仏教において死から次の生を受けるまでの間を意味する)。本書は、Abraham Lincoln第16代米大統領がワシントンDCで若くして亡くなった息子Willieの墓参りをした日の夜、160を超える亡霊たちが墓を訪れ、次の段階へ進むようWillieの魂を説得するという内容だ。
「死別の悲しみと責任のはざまで、Lincoln氏がどのように苦悩していたかについての新たな見方を得た。読み終えたら友人と語りたくなるような魅惑的で多様な解釈のできる作品の1つだ」とGates氏は述べている。
Gates氏はKate Bowler氏の回顧録「Everything Happens for a Reason and Other Lies I've Loved」(仮訳:全てのことには理由がある 私はそんなうその数々を愛してきた)も勧めている。この回顧録で、神学教授のBowler氏は自身のステージ4の結腸癌について、答えを探し求める。
「Bowler氏の著述は直接的であり、感傷が排除されている。自分の人生は不公平だ、自分はもっとよい人生を送るだけの価値があったはずだ、といった発言はない。Bowler氏は実際に起きたことを淡々と述べるだけだ」(Gates氏)
Gates氏は、芸術家で発明家のレオナルド・ダ・ビンチについてWalter Isaacson氏が執筆した伝記「Leonardo da Vinci」も勧めている。Gates氏はダ・ビンチの手稿の1つである「Codex Leicester」を所有しており、以前よりこの伝説の博識家に興味を抱いてきた。
Gates氏はこの書籍について、「ダ・ビンチを完全な人間として考え、彼がどれだけ特別だったかを理解するのを助けてくれるという点で、私がこれまでに読んだどんなレオナルド関連書籍よりも優れている」と述べている。「(ダ・ビンチは)当時地球上で知られていたことをほぼ全て理解する寸前まで行っていた」(同氏)
Gates氏のお勧めリストには、David Christian氏の「Origin Story: A Big History of Everything」(仮訳:起源の物語 あらゆることの大きな歴史)も含まれる。Christian氏は作家兼歴史家で、2011年にGates氏と協力して「Big History Project」を立ち上げた。このグループはChristian氏の研究に基づく講座を奨励している。この講座は、世界と科学の歴史を学際的に教える。
「Big Historyをまだ受講していない人にとって、Origin Storyは素晴らしい入門書だ。既に受講済みの人にとっては、記憶を呼び覚ます素晴らしい書籍である。いずれにせよ、この書籍を読めば、宇宙における人類の居場所に対する理解が深まるだろう」(Gates氏)
Gates氏が最後に勧めるのは、Hans Rosling氏がOla Rosling氏、Anna Rosling Ronnlund氏と著わした「Factfulness」(仮訳:冷徹な事実)だ。Gates氏はこの書籍について、「私がこれまでに読んだ最高の書籍の1つ」と評している。2017年に亡くなったHans Rosling氏は、世界的な健康問題に関するスウェーデン人の教授で、Gates氏の友人だった。Rosling氏は世界について考える新しいフレームワークを提供し、人口を収入によって4つの集団に分割する。レベル1に属する10億人が極度の貧困にあえぐ一方で、レベル4の10億人は自動車を買ったり、休暇を楽しんだりする余裕がある。
「この書籍を読んで、私は目を開かされた。Rosling氏が明確に提示するフレームワークは、私が国際開発に何十年も取り組んで構築しようとしていたものであり、これほど明確に表現できたことはなかった。今後はこのモデルを使うようにしたい」(Gates氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」