富士通クライアントコンピューティング(以下FCCL)は5月16日、レノボとの合弁会社として今後の取り組みについて記者会見し、代表取締役社長の齋藤邦彰氏が抱負を語った。
2017年11月2日、富士通とレノボ、日本政策投資銀行(以下DBJ)の戦略的提携により、2018年度第1四半期を目途にPC事業の合弁会社を設立することに合意したと発表。2018年5月2日、富士通の100%子会社だったFCCLの株式を富士通はレノボに51%、DBJには5%を譲渡し、新生FCCLとして新たな船出を切った。実質レノボの傘下となり、外資系企業という扱いになる。
1月に法人向けモデルの発表を行っているが、合弁会社となってからは今回が初めての会見となる。
齋藤氏は、これまでのものづくりとレノボとの合弁に対し、「1981年にFM-8を発売以来、企画・開発・設計・製造・販売まで一貫体制で行っている珍しい会社。お客様の要望にいち早く高いレベルで応えてきた。2017年11月にレノボと合弁会社を設立することに合意したが、これによりわれわれの強みは、さらに強固なものになる。すべてのお客様に対して、満足いただける製品を企画・製造・販売していく。これは今後も変わらない」と、今までと変わらない富士通ブランドとしてやっていくことを強調した。
その上で、今後はレノボと提携することで、人に寄り添ったコンピューティングを実現するため、「To the Cutting Edge」をキーワードに、エッジコンピューティング(クラウドコンピューティングよりも近いネットワーク上にサーバを設置してやり取りすることで、よりレスポンスの良い処理をすること)やAI(人工知能)などに力を入れ、さらにきめ細かに開発のペースを上げていくとしている。
「われわれはもっとお客様に寄り添うために変わっていく。すべての主語に“お客様”を置き、お客様のために何ができるのか、全従業員一丸となって突き進んでいく」と語り、5月16日を“DAY 1”と呼び、誓いの日とした。数年後にあの日を境にFCCLはさらに変わったと言われるように努力していくという。
レノボとの合弁会社となっても、川崎工場で開発し、出雲や福島の工場で生産する体制はそのまま続けていく。ブランド名も変わることなくMade in Japan、Maid for You。ものづくりにこだわった情熱品質を発信し続けていくことになる。「ものづくりはわれわれの価値そのもの。愚直に37年間積み重ねてきた最新テクノロジをいち早くお客さまの手に届くよう組み上げる社内風土、財産を手放すようなことはしない」(斎藤氏)。
ユーザー一人ひとりに合わせた使い心地を追求した例として、保険セールス用のタブレットを挙げた。生命保険の営業が使う端末のため、現場に足を運んで声を聞き、グリップエッジをつけて片手でも画面が立つようにしたり、契約時に全身写真を撮るためにカメラの位置を変えたり、いつでもバッテリの交換ができるよう予備バッテリを用意したりと、細かな改良を繰り返してきたという。
また、小学校で使う小学生タブレットもそのひとつ。子どもたちは、つねに机のある場所で利用するのではなく、立ったまま使うケースもあるという。そのため、より堅牢さをもたせるべく、四隅にグリップを付けて衝撃を吸収したり、ガラス面も広い額縁で覆ったりしている。これも小学校へ通い詰めたからできた結果だ。
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