Boston Dynamicsの機敏な4足歩行ロボット「SpotMini」が、2019年に企業向けに発売されるようだ。車輪付きの機器では移動できない場所での利用を想定しているという。
Boston Dynamicsの共同創業者でプレジデントのMarc Raibert氏は米国時間5月11日、TechCrunchロボティクスカンファレンスで、現在10体のプロトタイプがあり、製造パートナーとともに年内に100体を製造する予定だと述べた。2019年の発売に向けた「量産体制に入るための準備段階になる」という。
Raibert氏は価格について明らかにしなかったが、SpotMiniは警備パトロールや、建設会社による建設現場の監視に使える可能性があるとした。SpotMiniは、追加ソフトウェアなどで特定の作業向けにカスタマイズできると同氏は述べた。いずれは、家庭向けの販売も視野に入れているという。
Raibert氏は、「多くの場所に、車輪付きでは移動できない部分がある」とし、SpotMiniでは移動できる範囲が格段に広がると考えていると述べた。
Boston Dynamicsは世界で最も有名なロボット開発企業の1社だ。険しい地面の上でもバランスをとりながら移動できる、ガソリン駆動の4足歩行ロボット「Big Dog」で脚光を浴びた。その後、ヒト型ロボット「Atlas」も発表している。バク宙のほか、荷物を拾い上げることができるAtlasは今、ランニングも可能となっている。
Boston DynamicsがGoogle傘下に入ってから開発が始まったSpotMiniは、見た目が愛らしいだけでなく、その動きは目を引くものがある。
Boston Dynamicsは現在ソフトバンク傘下にある。量産などの短期的な優先事項とともに、しばらくは実を結ばないであろう「非現実的な」プロジェクトにも取り組んでいる。Atlasは、現時点では近い将来製品化される予定はないが、その技術が今日の取り組みにメリットをもたらすとRaibert氏は述べた。
Boston Dynamicsに寄せられる要求の1つに、車いす利用者を、ハイキングコースなどに連れ出すことのできる脚型デバイスがあるという。「その要求にはまだ活動的に取り組んでいない」とRaibert氏は述べた。
10日には、SpotMiniの自律ナビゲーション機能を示すデモが披露された。SpotMiniは、搭載された4台のカメラによって、障害物の位置とその回避方法を検出する。例えば、手すりにぶつかることなく階段を上ることができるとRaibert氏は述べた。
11日に壇上で行われたデモでは、人が指示してSpotMiniを操作する様子が披露された。ただし指示するのは目的地だけで、個々の足を配置する正確な場所までは指示しないという。SpotMiniは、複数の障害物をまたぎ、脇に寄って避けた場面もあった。
自律ナビゲーションを行うには、対象領域内でSpotMiniを手動で走らせ、SpotMiniが独自のマップを作成できるようにする必要があるとRaibert氏は述べた。それによってSpotMiniは、自律的に移動する方法を把握することができる。
同氏は、「モーションプランニングソフトウェアは、障害物の位置や移動できる場所を考慮してモーション制御を考え出すというのをすべてリアルタイムで実行する」と述べた。
長い目で見れば、ロボットはインターネットよりも重要なものになる可能性があるとRaibert氏は述べた。
同氏は、「インターネットによって、世界中のあらゆる情報に触れられるが、ロボットは世界中のあらゆるものに触れて操作することを可能にする」と話す。「さらなる大きなアイデアだ」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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