NTTぷららは4月23日、映像配信サービス「ひかりTV」の10周年を記念して「見るワクワクを、ぞくぞくと。ひかりTVイベント」を開催した。VODビジネスの先駆けとしてこの市場を切り開いてきた、10年間を振り返るとともに、「スマートフォンコンテンツに軸足を移す」これからの戦略について話した。
ひかりTVは、インターネットサービスプロバイダとしてビジネスを伸ばしてきたNTTぷららの新たなサービスとして2008年に登場。クラウドゲーム「ひかりTVゲーム」や4K VODサービスの提供など、10年間に渡り「日本初・世界初」のサービスに挑戦し続けてきた。
NTTぷらら代表取締役社長の板東浩二氏は「2010年には100万会員を達成し、2015年には300万会員を突破。日本最大のIPTVサービスに育てられたと思っている。しかしサービス開始から10年が経ち、ほかのVODサービスの参入などもあり、伸び率はスローダウンしてきた。10年を一区切りとし、新規事業領域に乗り出そうと思っている」と今後の方針を示した。
NTTぷららが目指すのは、(1)スマホ向けコンテンツ・アプリ市場の開拓、(2)「新体感」映像コンテンツ制作、(3)新技術、新サービスの導入の3つ。板東氏は「スマートフォン向けコンテンツを新たな事業領域に定め、VR、AR、MRなどのコンテンツに軸足を移す。コンテンツビジネス会社に生まれ変わる」と宣言した。
すでにスマホ向けコンテンツ・アプリとして、関西の民放テレビ局が1つのアプリで見られる「大阪チャンネル」やタテにスクロールすることで見られる「タテアニメ」などを提供。これらのコンテンツをさらに増強するほか、新体感映像コンテンツとして、画面上で指を動かすことで視点を変えられる「自由視点映像」やドローンによる4K映像生中継などを実施。サッカーチーム「FC今治」の新スタジアムには、来場客によるMVP選手投票やライブイベントなど、スタジアムに来ることで楽しめるコンテンツを用意する「スマートスタジアム」にも着手する。新技術・新サービスの導入としては、新4K、8K放送(BS)に対応するほか、ARを使った「バーチャルフィギュア」が楽しめる「ひかりTV VF」などに取り組む。
3月に提供を開始した「布袋寅泰 新体感ライブ」アプリでは、マルチアングルでの配信やバーチャル3Dフィギュアになった布袋寅泰さんが見られる、新体験アプリとして提供。イベント同日の4月23日には、新映像体験プロモーションの第2弾として、東京スカパラダイスオーケストラを起用した「EYE WANT MORE」の展開も発表した。
EYE WANT MOREは、特殊な透過性スクリーン上にスカパラのメンバーが現れる「EYE WANT MUSIC VIDEO」や、ARで3Dバーチャル映像が体験できる「EYE WANT AR」などのコンテンツを用意。イベント会場ではスクリーンに浮かび上がったスカパラのメンバーと会場に登場したダンサーBambi NakaさんとGenta Yamaguchiさんがリアルと3Dバーチャルでコラボレーションする場面も披露した。
会場では、スマートフォンと組み合わせてホログラム映像が視聴できるデバイスも展示。専用のコンテンツと箱を用意し、箱の上にスマートフォンを載せることで、立体的なホログラム映像の視聴ができた。NTTぷららでは、立体的なコンテンツの投影により、多様な視聴体験を提供できるとしている。
板東氏は「10年の間には途方に暮れることもあったが、ここまでやって来られた。ぜひ新しいコンテンツマーケットを構築して、新しいアイデアを形にしていきたい」と今後についてコメントした。
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