アニマルセラピーに代わるぬいぐるみロボット、患者の心のケアに一役 - (page 2)

Patrick Holland (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2018年04月13日 07時30分

アヒルのロボット

 Chung氏と、共同創業者であるAaron Horowitz氏が2012年にSproutelを設立したのは、子どもの闘病を助け、病気について知ってもらうためだった。1型糖尿病と診断された子どものために、クマのぬいぐるみ、Jerry the Bearを作った。Jerryは、子どもの友達になると同時に、闘病を支援するツールにもなることを意図している。子どもたちは、スマートフォン用のARアプリを使ったJerryのシミュレーションから、血糖値をモニタリングしてインスリン注射を打つことを学ぶ。

 2016年には、保険会社のAflacが小児がん患者のためのロボット玩具開発に向けてSproutelと提携した。翌2017年、Sproutelは子どもとその家族、医療従事者が、がんの治療に立ち向かう過程を研究することにその時間を費やした。そのあらゆる成果をハードウェアと動作設計に注いだのが、セラピーロボットのMy Special Aflac Duckだ。

 My Special Aflac Duckには、マイク、タッチセンサ、光センサが付いており、周囲の環境に応じて動作を調整する。なでてやると、踊ったり、くちばしを突き出してすり寄ってきたり、首を振りながら鳴いたりする。呼吸と心拍も再現されている。羽毛の付いた「外皮」の部分は取り外せるようになっており、洗濯も簡単だ(化学療法の副作用で、子どもが吐いてしまうことがある)。

 筆者がこのアヒルを触っていたのは15分ほどだったが、それだけで手放しがたくなった。生きているような感じで、触っていると気持ちが落ち着く。このアヒルは、子どもに「管理する」という、闘病生活では得難いであろうチャンスも与える。子どもがアヒルの世話係となって、対応するARアプリを通じて餌やりや入浴をシミュレーションで体験できるからだ。

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提供:Sproutel

 アヒルの胸の部分には、「E.T.」のように光るライトがある。いろいろな絵文字が書かれた「感情カード」をここに当てると、アヒルの感情が決まる。大抵、そこには子ども自身の感情が反映されるという。「悲しい」のカードを当てると、アヒルはうなだれて、悲しそうな声で鳴く。「うれしい」のカードなら、楽しそうに鳴いて踊り出す。

 同じ胸のセンサには、そのアヒルが化学療法を受ける様子を見せる機能もある。こうした小さなことで、子ども自身が実際に体験する前に、気持ちを落ち着かせることができる。

 このアヒルロボットは、アトランタにあるAflacのCancer and Blood Disorders Centerで膨大な数の初期テストが済んだところで、2018年冬から、米国内で新たにがんと診断された子どもに無償で提供される予定だ。1体の価格は約200ドル(約2万1400円)だが、Aflacが賄うことになる。

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