ビットコインを支えるブロックチェーン技術がヘルスケア分野にも徐々に浸透している。
ブロックチェーンによって情報の共有とアクセスの効率性を高められることを、より多くの研究者や企業が認識し始めている。そうした中、5つのヘルスケア組織(Humana、MultiPlan、Quest Diagnostics、Optum、UnitedHealthcare)が米国時間4月2日、パイロットプログラムを開始し、ヘルスプラン提供者らのディレクトリを最新の状態に保つのにブロックチェーン技術を利用可能かどうか確認することを発表した。
一般に、マネージドケア組織や医師、診断情報サービス提供者などの医療関係者は、医師の名前や住所、専門分野、受け入れる保険の種類といった医療サービス提供者のデータのコピーを別々に保管している。彼らのデータの相違点を照合する作業には、多くのコストと時間がかかることもある。非営利組織のCouncil for Affordable Quality Healthcare(CAQH)の試算によると、民間ヘルスケア業界はプロバイダーデータの収集や保守に少なくとも年間21億ドルを費やしているという。
5組織は、ブロックチェーン技術を利用して、全ての当事者間でデータの完全性と正確性を確保すれば、管理コストを引き下げられる可能性があると述べている。
OptumのシニアディスティングイッシュトエンジニアであるMike Jacobs氏は、「ブロックチェーン技術の性質は、このような協力同盟の結成に適している。多くの同期や照合が必要な状況は、ブロックチェーンにとって最適なユースケースである」と述べた。
ブロックチェーンは、デジタル通貨であるビットコインの台頭によって注目を浴びるようになった。しかし、ブロックチェーン技術は仮想通貨にとどまらず広範に拡大しており、今ではオンラインでの食品注文の正当性や処方薬が偽造でないことの確認に使用されている。カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者らは、人々が自分の医療データをセキュアに共有できるブロックチェーンシステムの構築に取り組んでいる。このデータを利用して、乳がん発見のためのAIアルゴリズムを訓練することが狙いだ。電子医療記録にもブロックチェーンが役立っている。例えば、MedRecはブロックチェーン技術を使って、複数のプロバイダーにまたがるヘルスケアデータ用の分散型コンテンツ管理システムの開発に取り組んでいる。
今回発表された新しいパイロットプログラムでは、ブロックチェーンを使ってヘルスケア組織間でデータを共有することで、正確性の向上や管理活動の効率化を実現できるかどうかを調べる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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