NTTドコモは3月3日と4日の2日間、視覚障がい者がスマートフォンのカメラを使って撮影した自撮り写真を3D写真に特殊加工した作品を展示する「#見えなくても自撮りして3Dにしてみた展」を都内のギャラリーで開催した。
この展示会は、ドコモが推進するCSR活動「ForONEs」の一環として、写真を見ることができない視覚障がい者に、スマートフォンで写真を撮ることの手軽さや写真を通じたコミュニケーションの楽しさを体験してほしいという考えのもと立ち上がった「ドコモ3Dセルフィープロジェクト」の企画展として実施。写真家で日本視覚障碍者芸術文化協会の副会長を務める尾崎大輔氏による監修のもと、特殊なプリント用紙と機器によって写真を3Dに加工する技術を導入し、視覚障がい者が撮影した写真を3D写真にしたのだという。
具体的には、特殊な紙にレーザープリンターで写真をプリントし、それに特殊な機器によって熱を加える。すると、紙にプリントされたカーボン=写っている被写体の姿が膨張して手で触って被写体を感じることができる。会場に展示された作品は画像加工ソフトで加工した写真を3Dプリントしているが、スマートフォンで撮影した写真をそのままプリントしても、凹凸のある3D写真にできるという。
会場には、1月に開催された視覚障がい者向けワークショップで撮影された自撮り写真を3Dプリントした作品19点が展示。来場した視覚障がい者が写真に触れながら作品を楽しんだほか、晴眼者向けには白い紙にフロッキー加工(植毛加工)で写真の輪郭を作り視覚障がい者の立場を擬似的に体験できる工夫もされていた。また、スタッフ自身も自分の写真を3Dプリントして、来場した視覚障がい者への自己紹介に活用していた。
企画展を主催したNTTドコモCSR部第二CSR担当主査の諏訪勝也氏は、企画の背景について「視覚に障がいを持つ方は自撮りを知らないという現状に対して、障がい者と晴眼者で一緒に楽しめる仕組みがないかと模索する中で、今回の“触って確認できる写真”に巡り会い、プロジェクトを企画した」と説明。写真を楽しむ機会のない視覚障がい者に対して、気軽に写真のコミュニケーションを体験できる方法を提案するのが目的なのだという。
「視覚障がい者の方も写真を撮るのだが、それは人に見せて確認してもらうためのもので、自分のためではない。その写真を触って感じることができれば、もっとコミュニケーションを楽しむことができるのではないか。いきなり写真を触っただけで障がい者が被写体を理解することは難しいかもしれないが、晴眼者と一緒に楽しむことで写真がコミュニケーションの手段になることが期待できるのでは」(諏訪氏)。
また、1月に開催されたワークショップに関して、諏訪氏は「印象的だったのは、盲導犬の写真をプリントしている方。盲導犬は残念ながら人の寿命よりも短いため何匹か代替わりするのだが、亡くなった盲導犬を、写真を触ることで感じることができるのは嬉しいという声が聞かれた。また、写真を触ることで我が子や孫の成長を楽しめるという声も聞かれ、参加者からの反響は予想以上だった」と振り返った。
諏訪氏によると、この3D写真プリントの仕組みについて、今後は同社が開催している障がい者向けスマートフォン・携帯電話の使い方講座「ドコモ・ハーティ講座」に導入したり、ドコモショップ丸の内店に併設されている「ドコモ・ハーティプラザ」への展開などを検討しているという。「今後、幅広い方に体験していただける機会を模索していければ」(諏訪氏)。
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