KDDIがヘルスケア事業に本格化--日本エンブレース、医療・介護SNSで総額10億円調達

 KDDIは3月7日、医療介護専用のSNS「メディカルケアステーション(MCS)」を運営する日本エンブレースと、資本業務提携契約を締結したと発表した。

 医療・介護の現場におけるIT化支援を目的としたもので、第三者割当増資により発行される株式の一部をKDDIが取得した。KDDIによる出資金額や、この事業における売り上げ目標は非開示。一方で日本エンブレースは同日、KDDI、産業革新機構、ニッセイ・キャピタル、SMBCベンチャーキャピタルを引受先とする、総額約10億円の第三者割当増資を実施したことを発表している。

医療・介護従事者や患者には無料で提供する「MCS」

 MCSは病院、クリニック、介護施設、薬局などにおける医療・介護従事者や患者、その家族が、スマートフォンやPC上で簡単にコミュニケーションできるSNS機能を持ったソーシャル医療介護連携プラットフォームだ。

MCSの3つの特長
MCSの3つの特長

 LINEやメッセンジャーようなタイムライン形式による情報共有機能(テキスト・画像情報など)が特長で、在宅医療や介護の現場におけるダイレクトな多職種間の連携を実現している。セキュリティに配慮し、医療・介護に特化した完全非公開型のSNSだ。

 MCSは、医療・介護従事者や患者には無料で提供され、運用コストは、製薬会社やサービス連携している団体らからの収益で賄われる。すでにMCSを用いた治療支援アプリやヘルスケアサービスを医療業界向けに提供しており、製薬会社による「服薬適正化支援アプリ」や、医療関連メーカーによる「褥瘡ケア支援アプリ」など10件以上の実績を持つという。

問診などの機能も持つ
問診などの機能も持つ

 同様のサービスはほかにもあるが、MCSはすでに、全国3万以上の医療介護関連施設、6万人を超える医療介護関係者ユーザーが利用しており、200以上の医師会で正式に採用されている。約23%の医師会に普及しているのが特長だ。

 医療介護の現場ではIT化が進み始めている。診療所などの医療機関への電子カルテの普及や、遠隔医療に対する診療報酬の改定などもその一つで、医療・介護の現場におけるIT利活用の環境が整いつつある。

医師の管理画面。患者がリストになって並んでいる
医師の管理画面。患者がリストになって並んでいる

 KDDI バリュー事業本部 担当部長の岩崎昭夫氏は、「KDDIは端末や通信インフラで医療介護現場のIT化を後方支援しているが、よりIT化を進めるためにプラットフォーム事業に参入することにした」と説明。

 今後はITを活用した「医療・介護現場のIT化支援」を目的とし、(1)MCSを利用する医療従事者の拡大、(2)MCSの活用シーンの拡大、(3)医療介護ITプラットフォームの創出・連携──の3点に取り組む。

連携イメージ
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