シェアサイクル「メルチャリ」、2月27日に福岡でローンチ--ユーザーが運営に参加

 メルカリのグループ会社であるソウゾウは2月13日、共同運用型のシェアサイクルサービス「メルチャリ」を2月27日より福岡県福岡市内で開始すると発表した。利用料は1分4円、クレジットカード払いやコンビニ、ATM払いも可能だ。


(左から)ソウゾウ代表取締役社長の松本龍祐氏、同社メルチャリプロダクト責任者の井上雅意氏

 同サービスは、2017年9月に予告されていたもの。専用のスマートフォンアプリから、ソウゾウが設置するポート(駐輪場)に置いてある自転車のQRコードを読み取ることで自転車の鍵が解錠し、レンタルすることができる。返却も、ポートであればどこでも返却できる。ポートは、パートナー企業(現在13社)などとの連携により、サービス開始時は50カ所(400台)からスタート。2018年内には200カ所(2000台)への拡大を目指す。


利用方法

 自転車は、自転車メーカーとの共同開発で日本製。ドコモバイクシェアのように電動タイプではなく、中国Mobikeのようにメンテナンスレス(パンクレスタイヤなどの採用)仕様でもない、一般的な自転車に近い。これについてソウゾウ側は、メンテナンス性と乗り心地を追求した結果としている。自転車のカラーリングは赤に統一されている。

 自転車にはGPSとLTE通信モジュールを内蔵し、自転車が駐輪されている場所をサポート側が常時把握できる。そのため、違法駐輪されている自転車の発見や、故障、トラブル時でも自転車のある場所をすぐに確認可能。また、これらの車両は、民間企業のサポートトラックが移動・回収する。

 なお、スマートロックや通信装置は内蔵のバッテリで稼働する。自転車には発電機などは搭載されておらず、電池残量が少なくなると、電源が切れてしまう直前のタイミングでの現在地を発信する。発電機の搭載は、ソウゾウによると検討中だとしている。


メルチャリで使用する自転車は、自転車メーカーと共同開発している

専用のアプリでQRコードを読み取ることで解錠できる

 また、損害保険ジャパン日本興亜および東京海上日動火災保険との協力により、自転車専用保険を用意。ユーザーの事故や怪我に対応するほか、示談交渉サービスつきの賠償や、怪我をかぶった場合に補償を受けることができる。主に、傷害保険(死亡・後遺障害保険金額最大1000万円)、個人賠償責任保険(最高2億円)、自転車やポートなどの管理不具合による損害に対応する施設賠償責任保険(身体、財物ともに最高2億円)に対応する。

 同社では、福岡市を選定した背景として、メルカリが福岡にカスタマーサポート支店を設けており、さまざまなトラブルにスピーディーに対応できること、福岡市がフラットな土地で自転車の移動に適していること、博多駅周辺や天神などの市街地の回遊性を高められることなどを挙げている。長距離での移動ではなく、利便性が高い地域で、ラストワンマイルの移動を埋める手段として自転車が活用できるとしている。他の地域については検討しつつも、今のところは未定としている。

シェアサイクルの一番の課題は“運用面”

 メルチャリの特徴として、ユーザーがメルチャリの運営に参加する「共同運用型」を採用しているところにある。一般的に、ポートにおける自転車の過剰・不足などによる再配置、放置自転車の対策など、シェアサイクルは運営面の負担が大きいとされている。

 メルチャリでは、個人などのサポーターを募り、タイヤの空気入れやポートの清掃、バッテリの充電、違法駐輪や故障車の報告などで協力したユーザーに、メルカリポイントやメルチャリオリジナルグッズ、メルチャリで貯まるマイルの付与などを実施する。違法駐輪は、ほかのポートへの移動も含めて、15分間無料で利用できる。


メルチャリは、ユーザーが運営に参加することでメルカリだけではカバーできないところを肩代わりする

ユーザーが参加したくなるようなインセンティブも用意する

 ソウゾウ代表取締役社長の松本龍祐氏は、こうしたユーザー参加型のコミュニティが他サービスとの違いであり、「世界観はメルカリに近い」としている。ただし、共同運営型のシェアサイクルサービスが実際に機能するかついては、記者から多くの懸念が挙がった。

 同社メルチャリプロダクト責任者の井上雅意氏は、実地での実証実験は難しいのでデータは持ち合わせてないとしつつ、「メルチャリの利用にはメルカリIDが必要なので、必然とメルカリを使っている人がユーザーとなる。メルカリでは、違法商品の出品者や不審なユーザーを報告するなど、コミュニティが機能しており、実世界においても機能すると考えている。メルチャリは、こうしたコミュニティと相性がいい」と説明した。

 また、メルチャリのポートでも、同社が設置したもの以外にも、地域の民間企業や個人宅、店舗の軒先など、地域のユーザーが持つスペースを大小問わず提供してもらうことで、街により多くのポートを設置する。個人宅であれば、場所を問わずメルチャリで帰宅できるほか、店舗であれば集客が見込めるなど、ユーザー側のメリットもあるとしている。

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