富士通、携帯端末事業をファンドに売却--「らくらく」「arrows」ブランドは継続

 富士通は1月31日、連結子会社である富士通コネクテッドテクノロジーズ(FCNT)の株式および、富士通周辺機の携帯端末事業を承継する新会社ジャパン・イーエム・ソリューションズの株式をポラリス・キャピタル・グループが新たに設立する会社へ譲渡することで合意、契約を締結したと発表した。今後、両社は3月末を目途に株式の譲渡を目指す。

 同社によると、FCNTの5G、IoT時代に向けた次世代端末の開発や新たなサービスビジネスへの展開を加速させるため、株式をポラリス・キャピタル・グループへ譲渡し、FCNTの独立性を一層高めるという経営判断をした結果、今回の合意に至ったという。

 これにより、FCNTが有する通信キャリアとの長年の信頼関係、シニア向け端末で培ってきたブランド力および、幅広い技術力(無線、生体認証、セキュリティなどの基盤技術や省電力、熱制御技術など)を最大限に活用した事業展開が可能になる。

シニア向けSNS「らくらくコミュニティ」を活用した新規事業も

 さらに、携帯端末を始めとしたユビキタス製品の開発・製造・修理を行う富士通周辺機の工場についても、独立した事業体としてODM・EMSビジネスを拡大するために分社化。その株式をポラリス・キャピタル・グループへと譲渡することになった。

 ポラリス・キャピタル・グループによると、シニア世代に圧倒的な支持を得ている「らくらく」シリーズや根強い人気のある「arrows」シリーズのブランド力および、これらの商品開発を支える高い技術力を高く評価。また、日本有数規模のシニア向けSNS「らくらくコミュニティ」を活用した新規事業の展開などにより、さらなる成長のポテンシャルを有していると考えているという。

 ポラリス・キャピタル・グループは、これまで複数の製造業やIT・モバイル関連事業案件および、大企業カーブアウト型案件に携わっており、これらを通じて培った知識と経験を武器に、独立企業体として必要な体制をスムーズかつ迅速に構築する。具体的には、5GやIoT時代に向けた技術開発投資、さまざまなアライアンス・M&A戦略による収益基盤の拡充、次世代に向けた新製品や新サービスの提供、ならびにEMS事業の拡充などを成長戦略の柱とし、これらを着実に後押しすることで、企業価値最大化を図るという。

 同社ではまず、富士通周辺機の携帯端末事業をジャパン・イーエム・ソリューションズへと承継させるほか、シニア向けSNS「らくらくコミュニティ」をFCNTへと承継させる。その上で、新体制となったFCNTの株式30%とジャパン・イーエム・ソリューションズの株式19%を保有する。

 富士通周辺機については、新体制への移行後も引き続き同社の100%子会社として、プリンタの開発・製造および、各種製造設備などのODMビジネスを行う。また、通信キャリア向けのらくらくブランドやarrowsブランドおよび、自社ブランドの商品を提供する。

 同社によると、株式の譲渡に伴う、2018年3月期の連結決算における当期利益への影響は約300億円の予定だという。

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