クラウド人事労務ソフト「SmartHR」を展開するSmartHRは1月23日、SPV(Special Purpose Vehicle)と呼ばれる戦略的スキームを活用した15億円のシリーズB資金調達を実施したと発表。また、500 Startups Japanの代表兼マネージングパートナーのJames Riney氏が社外取締役に就任したこともあわせて発表した。
SPVは、一般的に特定の企業やプロジェクトなどに資金を投資する目的で専用のファンドなどを組成し、当該ファンドなどを通して資金を供給するスキーム。米国においては、ベンチャー企業が資金調達を行う際の手段として多くの事例があるものの、日本では未だ前例が少ないスキームとしている。
今回、SmartHRのシリーズBの資金調達を目的として、既存株主である500 Startups Japanが、SmartHR専用のファンドを組成。東京海上日動火災保険、日宣をはじめ、機関投資家3社、CVC(Corporate Venture Capital)、個人投資家などがリミテッドパートナーとして参加している。
SPVを活用することのメリットとして、「コミュニケーションの一本化」があるという。外部からの資金調達活動は重要である一方、限られたリソースのなかでは代表者をはじめとする経営陣への負担が大きく、その間の事業推進速度が一時的に低下してしまうなど課題があるという。今回の場合、500 Startups Japanが一次窓口を担うことで、リミテッドパートナー候補への提案や出資検討の交渉、契約の合意形成などを主導。これによって、SmartHR側にかかっていた負担を担いながら、迅速に大型の資金調達を実現したという。
今回調達した資金は、主に広告宣伝に関わるマーケティング活動、そして開発力強化に向けた採用や人件費に活用する。また今後の展開として、SmartHRで培った顧客基盤や人事データベースを活用し、新製品の開発はもとより、法人向けサービスのプラットフォーム化や、今回SPVに参加した東京海上日動火災保険との提携を通じて、金融商品の開発といった新規事業も視野に入れているという。
SmartHR代表取締役の宮田昇始氏は、労務手続きの煩雑さなど、昨今うたわれている「働き方改革」以前の問題が山積みの状態だと指摘。「抜け漏れや、後回しが起こりやすいが、あってはいけないもの。SmartHRはそれらをなくすためのサービス。人事担当者などがペーパーワークから解放されて、より価値のある仕事に集中できるようにできれば」と語った。
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