ジャパンディスプレイは、新規事業などを手がけるディスプレイソリューションズカンパニーの事業説明会を開催した。静電容量型タッチ入力技術を応用した、ガラス指紋センサの開発を発表したほか、2020年に売上1000億円を目指す事業戦略などを話した。
ディスプレイソリューションズカンパニーは、スマートフォン、車載用ディスプレイに次ぐ、新規事業を生み出す役割を担う。2017年12月にはVR専用液晶ディスプレイの開発を発表。これ以外にも反射LCDウェアラブル、ハイエンドノートPCなどのディスプレイ部分を開発、提供している。
ガラス指紋センサは、これらの既存事業に加え、新たに展開する新規ジャンル。スマートフォンやデジタルカメラの向けの液晶ディスプレイで採用している「Pixels Eyes」に搭載しているタッチ入力技術を応用し、開発した。
従来の指紋センサは、シリコン製のため加工がしづらく、曲面などへの設置が難しかった。ガラス指紋センサは、曲げられるため、ドアノブなどカーブの付いた場所への設置も可能。設置の幅を広げられるとしている。
透明性が高いため、バックライトやディスプレイを組み合わせた指紋センサの開発も可能。指紋をかざすと、OKの場合や緑、NGの場合の赤など、これまでにない指紋センサの用途拡大が見込める。
有効センササイズは8.0mm×8.0mmの0.45型で、解像度は160×160ピクセル。JDIでは2018年度中の量産出荷を予定しており、大型、小型サイズへの展開も狙う。
センサに代表されるように、ディスプレイソリューションズカンパニーが目指しているのは「ディスプレイの枠を越えた」(ジャパンディスプレイ執行役員 ディスプレイソリューションズカンパニー社長の湯田克久氏)展開だ。
LTPS(Low Temperature Polycrystalline Silicon)をベースに、液晶、有機EL、E Ink、指紋センサなどと組み合わせることで、新たなデバイスの開発に取り組んでいる。
1月には、E Inkと業務提携し、3色表示ができる電子棚札向け30cmワイド高精細電子ペーパーを開発。会場では、太陽電池を搭載し、ID、交通、ポイントカードを1枚のカードに集約できる反射型超低消費電力ディスプイ、ノートパソコン向け低消費電力狭額縁4K2Kディスプレイを使った超薄型PC、反射型ウェアラブルディスプレイなどのデモンストレーションも披露した。
ジャパンディスプレイ 執行役員 チーフマーケティングオフィサーの伊藤嘉明氏は「ディスプレイが単なるディスプレイとして機能する時代は終わった。今後ディスプレイはインターフェースになっていく。ジャパンディスプレイはモノ作りだけではないコト作りを推進していく」と今後の位置づけを話した。
湯田氏は「2017年10月に導入したカンパニー制により、ほぼすべての事業判断、オペレーションをカンパニー内でできるようになり、新規事業を早く立ち上げるには最適な体制になった。ディスプレイに固執せず、新たなアイテムを早く開発し、お客様に届けることで、2020年に売上1000億円を達成したい」と今後の方針を示した。
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