ロイヤリティフリーの動画圧縮技術の開発を目指す団体「Alliance for Open Media」が「AOMedia Video 1(AV1)」と呼ばれる技術の開発に取り組んでいる。AV1は、動画を保存またはネットワーク経由で送信する前に圧縮する技術だ。スマートフォンのストレージ容量が不足したり、データプランの月間データ使用量の上限を超過したりするのを防ぐ上で、この技術は非常に重要である。しかし、圧縮技術が利便性を発揮するためには、広範にサポートされていることが条件となる。そして、大手企業であるAppleがこの技術のサポートを渋っていた。
だが、Alliance for Open Mediaのウェブサイトによると、Appleは創設メンバーとして、同団体にひっそりと加盟したようだ。同ウェブサイトは米国時間1月3日に更新され、Appleの加盟が記載された。AppleがAV1に関して何を計画しているのかは現時点で不明だが、創設メンバーとして加盟したことは、強力なサポートを示すメッセージだ。
「Google Chrome」チームでメディア戦略とパートナーシップを統括するMatt Frost氏は、「それが非常に重要な進展であり、時代の変化と粘り強く待った成果を示す兆候であることは間違いない」と述べた。
Frost氏の言葉には説得力がある。同氏はOn2 Technologiesの最高経営責任者(CEO)を務めた経験がある。On2 Technologiesは動画圧縮技術を手がける企業で、2010年、Googleによって1億2300万ドル(約139億円)で買収された。Googleの狙いは、今日の特許ライセンシングのさまざまな重荷、すなわち弁護士や高額な特許料の支払いを伴わない動画技術をリリースすることだった。その取り組みの最初の成果である「VP8」は、限定的な成功しか得られず、Mozillaのサポートを獲得するにとどまったが、その後、Microsoftが後継規格の「VP9」をサポートした。
ただし、AV1はそれとは別の技術である。MozillaとCiscoも独自の動画圧縮技術を提供し、AmazonやNetflix、Huluを含む大手ストリーミング動画企業の支持を取り付けた。Appleがサポートを表明したことで、AV1の成功の見込みはさらに高まった。同社がこれまでサポートを渋っていたことを考えると、特にそうだ。
AV1は今も開発途上の技術だが、数週間以内に最初のバージョンが完成するとみられる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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