確かに買収交渉などに同席すると亀山さんの交渉力には驚かされますね。商売人だなと思います。僕はCASHは当初は買えないと思っていたんです。こちらとしてはいい事業を作るためにはいい人材を集めたいと思っていたので、光本さんは最高だと思っていましたが、CASHはまだ立ち上がって間もないサービスでしたし、光本さん自身が買収には興味がないのではないかと。そう思っていた交渉を、亀山さんが一晩でまとめて合意を取り付けてきたことがあって、それには驚かされましたね。
――亀山会長とは普段どのような会話をしているのでしょう。
亀山さんは雑談が好きなので、いろいろなテーマで話しますね。たとえば、最近流行っているアプリや事業についてだったり、業界内の企業動向についてだったり、話題の事件の話とか、亀山さん自身が社内を歩き回って、私を含めていろいろな人と雑談しています。
こちらからも日々新しい動きがあるので、普段は雑談しながら事業の動向を報告する感じですね。「こんなことやっちゃいますよ」という報告を承知してもらう形が多いです。雑談の中から、やろうと思っていることとか変えたいと思っていることを相談するとかそんな感じです。
――DMMという大企業の舵取りは、決して楽ではないと思います。これまでの片桐さんの経験は、どのようなところで生きていますか。
何を生かせているんだろうね(笑)。ただ、ピクシブで10年以上会社をやってきて、良いサービス、良い組織を作ってきたという自信はあるので、組織や事業をどうやって作っていくかという目線で考えられる部分は、DMMでも生かされているのではないでしょうか。
2017年には新事業を立ち上げたりしましたが、それがちゃんとビジネスになるのはこれからだと思います。そういう意味では、2017年は何かを成し遂げたというよりもこれからに向けた準備をしてきた1年だったと思います。
――新事業として、たとえば仮想通貨のマイニング事業はどのような経緯で始めることになったのでしょう。また2017年は仮想通貨の取引が大きく成長した1年でしたが、どのように見ていますか。
仮想通貨のマイニング事業は業界仲間の会話の中でクラウドマイニングを勧められて、やろうということになりました。自分で事業を思いつくというよりは、人に勧められてやるケースが多く、人と出会って話を聞いて新たな事業のヒントを得ることは多いですね。
仮想通貨を巡っては、ブロックチェーン技術やスマートコントラクトを含めた暗号通貨全体の領域で、新たな事業を展開していきたいという考えがあって、マイニングだけでなく取引所やブロックチェーン技術を使った事業を展開したいですね。
――バンクの光本氏はDMMのことを「総合商社」と表現したそうですが、今のDMMの姿をどう見ていますか。
今のDMMはインターネットであるかどうか関係なく事業を展開しています。いいビジネスのアイデアって、たくさんあるじゃないですか。そこで事業領域を限定してしまってはいけないと思うんです。
ビジネスとしてやる価値のある事業があったときに、それがインターネットの領域かどうかは気にしていないという感じです。ただし、どんな事業領域でもインターネットやテクノロジが成長のキーになると思うので、最高の技術基盤を持って事業を展開していきたいです。
――最後に、2018年の展望を教えてください。
2017年はいろいろな準備をした年だったので、2018年はそれをちゃんと育てていきます。技術的なキーワードはAI、ブロックチェーン、スマートコントラクトだと思いますので、新たな事業展開はもちろん考えていきますが、まずは社内の業務効率化にAIなどの技術を取り入れていきたいと考えています。そのために、2018年にDMM AI事業部門を立ち上げて新たな人材を採用していく予定です。また、暗号通貨全般に関する事業では、マイニングだけでなくブロックチェーンやスマートコントラクトを活用した事業をいくつか考えています。
社会に対して良い価値を提供できるように事業と組織をよりよくしていくことを、1つ1つ着実にやっていきたいと思っています。
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