logo

手書きの“勉強ノート”を共有できるアプリ「Clear」がEdTechの世界大会へ

藤井涼 (編集部)2017年12月21日 07時00分
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 EdTech事業を展開するEduLabは12月20日、優れたEdTech(教育×テクノロジ)スタートアップ企業を表彰する世界最大のコンペティション「The Global EdTech Startup Awards(GESA)」の日本予選の結果、学生同士で勉強ノートを見せあえるアプリ「Clear(クリア)」を提供するアルクテラスが優勝したことを発表した。同社は2018年1月23日にロンドンで開催される本大会に出場する。


勉強ノート共有アプリ「Clear」

 GESAは、世界70カ国以上の国・地域から650社を超えるEdTechスタートアップ企業が参加する世界最大のコンペティション。2017年における最も有望なEdTechスタートアップを表彰するとともに、「技術革新」「読み書き能力の向上」「人工知能(AI)」という3つのテーマにおいて、それぞれ優れた企業に特別賞が贈られる。

 最終選考であるロンドン大会には、地域予選に勝ち抜いた世界のスタートアップ15社が出場する。これまでスペインやアメリカ、フランス、イスラエルなど各国で地域ごとの予選が開催されていたが、2017年から予選地域に日本と南アメリカが追加され、日本予選についてはEduLabが主催することになった。日本予選では、2017年12月13〜14日に審査会が開かれ、8社のEdTechスタートアップの中からアルクテラスが選ばれた。同社には、賞品としてロンドンへの往復航空券がEduLabより贈呈された。


「The Global EdTech Startup Awards」日本予選の表彰式

自分に合った勉強ノートが見つかる「Clear」

 アルクテラスが提供するClearは、ユーザー同士で手書きの勉強ノートを共有しあえるアプリ。ユーザーは公開された英語や数学、日本史などのノートを見て、まとめ方の参考にしたり、学習に活用したりできる。また、撮影したノートの写真上に、暗記やマーカーなどのデジタルシールを貼れる機能も備える。解けない問題があれば、質問をして別のユーザーに答えを教えてもらうことも可能だ。

 たとえば、ユーザーが数学の「三角比の拡張」を選ぶと、このテーマに関連するノートが一覧表示され、好みのノートを閲覧できる。その中身は、文字が中心のものからグラフ付きのもの、イラストによって解説するものなどさまざまだ。「先生の用意した教材より、学生目線の手書きノートの方が理解しやすい。1つの単元につき五十冊くらい投稿されているので、自分の勉強方法に合ったノートが必ず見つかる」と、アルクテラス代表取締役社長の新井豪一郎氏は話す。


投稿されているノート。イラストやグラフなど視覚的に学べるノートも多い

 同社では個人指導塾も運営しており、新井氏によれば約半数の生徒が宿題をしてこないことがあるという。その要因の1つとして「先生に教えてもらった時には理解できるが、家に帰って学習をすると分からないところが出てきて、自分だけでは解決できなくなる」ことを挙げ、料理レシピ共有サイト「クックパッド」のように、学生同士で手書きノートを共有して自宅での復習や受験勉強に役立てられるClearを着想したと振り返る。

 2013年12月にリリースされた同アプリは、口コミだけで現在160万ダウンロードを超えており、高校1年生(16歳前後)のユーザーが最も多いとのこと。また、このうち40万ダウンロードが日本以外のアジア諸国で、すでにタイ、台湾、中国、インドネシアで提供されている。2018年にはインド、ブラジル、ベトナムでも展開する予定だ。また、累計で20万冊・200万ページのノートが公開されているという。


アルクテラス代表取締役社長の新井豪一郎氏

 基本的には無料で使えるが、同社の審査を通過したユーザーが投稿した完成度の高いノートを、1冊120円で購入することも可能だ。月額480円を支払えば有料のノートが読み放題になるという。同社では、この販売金額の一部を得るほか、塾や予備校、オンラインスクール向けに提供する授業支援ツール「ClearS」によってマネタイズしている。10月には代々木ゼミナール教育総合研究所がClearSの試験導入を開始した。

 日本予選の審査員とロンドン大会の最終審査員である、EduLab取締役副社長 兼 CMOの和田周久氏は、「EdTechという言葉を聞くと無機質で教育の温もりが消えてしまうイメージがあるが、Clearではユーザーの経験や手書きの温もりを生かせる」と評価。


日本予選の審査員であるEduLab取締役副社長 兼 CMOの和田周久氏(左)とデータビークル代表取締役の西内啓氏(右)

 同じく日本予選の審査員を務めたデータビークル代表取締役の西内啓氏は、AI時代にはいかに良質なデータを貯められるかが勝敗を左右することから、Clearが4年にわたり蓄積してきた手書きのノートデータや、ユーザー間の「いいね!」などのリアクションデータは、今後の教材のレコメンドなどに活用できるのではないかと期待を寄せた。

-PR-企画特集