医療・ヘルスケアに関する最新のテクノロジ、ヘルステックを紹介するカンファレンス「Health 2.0 ASIA - Japan 2017」が、12月5~6日に東京・渋谷のヒカリエホールで開催された。Health 2.0共同創業者のMatthew Holt氏が世界のヘルステックの動向を、また同イベントを日本で運営するメドピア代表の石見陽氏が日本の動向について紹介した。
Holt氏によれば、米国では過去10年、特に2010年からの7~8年で電子カルテの導入に大きな伸びを見せている。これは米国政府が320億ドルを支出して、電子カルテシステムの導入を支援していることも要因となっている。しかし、電子カルテシステムの多くはエンタープライズソフトウェアが主役。1990年代のサーバ/クライアントのテクノロジがベースとなってきた。
だが現在、われわれの身近にあるのは「SMAC」テクノロジ、つまり「Social(ソーシャル)」「Sensors(センサ)」「Mobile(モバイルOS、特にiOS/Android)」「Analytics(ビッグデータ分析)」そして「Cloud(クラウド)」だ。こうしたSMACテクノロジは、ヘルスケア関連のサービスやビジネスにも利用が広がっている。Holt氏はSMACに「K」、Kindness(優しさ・思いやり)をプラスした「SMACK. Health」を、新しい時代のヘルステックのあり方・考え方として紹介した。
またHolt氏は、Health 2.0がスタートした2007年からの10年の流れを振り返り、「2017年の現在は、ビッグデータ分析により、医療に関するよりよい意思決定ができるようになり、薬剤やケアの方法についての“発見”も進んでいる」と述べた。
さらにHolt氏は、グローバルでのヘルステック市場の動向についても紹介。現在のヘルステック市場は70億~80億ドル規模で、米国だけでなく、日本、中国、インドやヨーロッパなどでもヘルステックへの参入、市場の広がりが見られ、巨額の資金が動くようになっているとHolt氏は言う。またヘルスケアの先進技術に関わる企業は、Health 2.0のデータベースによれば約5000社と、2007年当時の50~60社から100倍に増加。消費者向けのものだけでなく、医療従事者などのプロ向けプロダクトを提供する企業や、患者と医療提供者のコミュニケーションに関する製品を提供する企業、そしてデータ・分析に関わる企業も大きな割合を占めるようになっているそうだ。
グローバルにヘルステック市場が進展し、急速に発展を遂げてはいるものの、まだそのポテンシャルを満たすには至っていない、と言うHolt氏。では、日本のヘルステックの状況はどうなのだろうか。
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