自殺に関する投稿は、Twitterだけではない。たとえば、2013年には滋賀県近江八幡市の女子中学生(14)がいじめを苦に飛び降り自殺をした。女子中学生は自殺前に、Twitterや2ちゃんねるにも自殺をほのめかす投稿をしており、FC2で飛び降りる様子を動画配信していた。
2016年12月には、米ジョージア州の少女(12)が自殺の様子をFacebookでライブ配信している。彼女は自宅の前庭に携帯電話を置き、木の枝にロープを結び、家族や友人に別れを告げるライブ配信をしていた。地元紙によると、彼女は亡くなる数日前に撮影した動画で、家族の1人から性的虐待を受けていると明かしていたという。
各SNSの運営企業は対策を始めている。Twitterでは、あるユーザーが自殺や自傷行為の兆候があると報告を受けた場合、その人物にメンタルヘルスパートナーの連絡先などの情報を伝えることがあるという。
米Facebookでも、友人が自殺をほのめかす投稿をしていたらユーザーが運営会社に通報できる機能がある。専門チームが24時間体制で確認しており、必要があれば介入するという。また、前述の少女の自殺配信を問題視し、Facebookライブとメッセンジャーサービスを統合し、自殺傾向のあるユーザーの特定に人工知能(AI)を役立てることを明らかにしている。
国内でも、政府は座間市の事件を受けて、2017年内に再発防止策を取りまとめる方針を固めている。菅義偉官房長官は、「Twitterの規制も検討するだろう」と明言している。
TwitterなどのSNSには、確かに何らかの対策が必要だ。しかし、自殺をほのめかす投稿は、周囲に助けを求めるために投稿されている可能性がある。投稿することで心のガス抜きをしたり、周囲に当人が危険な状態に置かれていることが伝わるというメリットもあり、投稿できなくすることが良いとは限らないだろう。
もし自殺などをほのめかす投稿を見かけたら、警察や相談機関などに通報してほしい。自殺などの行動を起こす場合は、周囲にほのめかすことが多いと聞く。SNSの投稿や普段の言動などからそのような兆候を感じたら、必ず相談機関を利用してほしい。
高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。
ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/
Twitter:@akiakatsuki
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