カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の研究チームは、暗闇など視覚情報が得られない環境でも物体を認識してつかむことのできる、柔らかな素材でできたロボット用グリップを開発した。電球をつかんでソケットにねじ込んだり、ドライバーを回してねじを締めたりできる。
このグリップは、3本の“指”を使って物をつかむ構造。指は空気圧で変形する柔らかな素材でできていて、空気の入れ方によって動きを制御できる。3本の指をコントロールすることで、ドライバーのような丈夫な物だけでなく、電球のような壊れやすい物をつかんだり、紙のように薄い物を持ったりさせられる。
指の表面には導電性のあるカーボンナノチューブで作られたセンサが設けられており、物体との接触を検知できる。それぞれの指から得られる接触情報を組み合わせて解析することで、対象物の形状を3Dモデル化して把握し、グリップ操作に反映する仕組みだ。
このように、グリップの指は対象物を操作するためだけでなく、対象物を“触覚”で認識する機能も備えている。そのため、暗かったり視界が悪かったりして対象物を見ることのできない環境でも、つかんで回すといった操作が可能になる。研究チームを率いたUCSDのMichael T. Tolley氏は、「このデバイスは、我々がポケットに手を突っ込んで手探りで鍵を探す際の動作をまねて設計した」と説明している。
研究チームは、耐久性がより高い指の開発に取り組む予定。また、機械学習と人工知能(AI)によるデータ処理技術を適用し、対象物を3Dモデル化するだけでなく、対象物が何かを識別できるようにもする考え。
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