すべてのロボットが戦争や破壊のために造られているとは限らない。2015年のDARPA Robotics Challenge(DRC)でカリフォルニア大学サンタバーバラ校助教のKatie Byl氏率いるロボティクス研究所チームが披露した「RoboSimian」は、救助活動を目的として開発されたサルのような多脚ロボットだ。
つまずくと酔っ払いのように転ぶ二足歩行の人型ロボットとは異なり、RoboSimianは4本の脚を使ってバランスと強度を発揮できるようになっている。「Tested」というチャネルで公開されている動画でByl氏は「救助の場面で何が必要になるかを考えると、安定性といった点になる」と語っている。
RoboSimianの4つ脚は、歩いたり上ったりするためだけのものではない。これらの脚は、道具を持って複雑な作業をすることもできる。またRoboSimianは、自動車の運転も可能だ。
ただし、ロボットの脚には3組の関節があるので、大股で進む場合はこれらを伸ばして脚を広げる必要がある。したがってRoboSimianは、地面を移動するときに記録的なスピードを出せるわけではない。「このロボットは、ゆっくりと慎重に移動するが、行く手に何か障害物がある場合、ほかの一部のロボットとは違って力があるので、進路からその障害物を押し出すことができる」(Byl氏)
参加した多くのロボティクスチームが、特にDRCの障害物コースやさまざまな作業を習得できるロボットを開発したのに対し、「われわれは、救助活動の場で実際に役立つことは何かを考えてこのロボットを設計した」とByl氏は述べている。
RoboSimianが逃げ出して本物のウルトロンになるのではないかと人々を不安にさせないように、この頼もしいロボットは今まで通り人の手でかなり制御されるようになっている。自律せず、人工知能も使用しない。人間のオペレーターがRoboSimianに指示を出し、RoboSimianはその情報をもとに、目の前にある作業を完了する。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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