不動産売買や仲介事業を手掛けるインヴァランスは、IoT、AI搭載のマンションを開発。プレス向けに内覧会を開催した。スマートフォンから解錠できたり、音声操作で電気がついたりといったスマートハウスから、1歩進んだ“住まい”を提案する。
インヴァランスは、2004年に設立。投資用マンションの開発、販売、管理を主に手掛け、現在東京23区を中心に100棟程度の新築マンションを分譲している。
マンションの開発に加えて、約2年前から不動産投資をサポートするアプリ「alyssa.(アリッサ)」の開発に着手。スマートフォンアプリからカーテンの開閉、照明のオン、オフ、お風呂のお湯はりといった、日常の動作をサポートする仕組みを整えている。2016年末ベータ版をリリースし、2017年2月に正式版が登場。現在、都内のマンション500世帯に導入している。
「アリッサ搭載マンションに住んでいる人のうち、アクティブユーザーは92%。かなりの確率で使っていただいてることがわかった。いずれもマンションの設計段階から導入しているため、IoT照明に合わせた照明器具の設置など、細かなところにも気を配っている。ガス周りの機器まで一括操作できるのは、新築物件ならでは」と、インヴァランス代表取締役の小暮学氏は、特徴を説明する。
92%というアクティブユーザーの高さも手伝い、今後は住民とオーナー、管理会社などをつなぐコミュニケーションツールとしての機能の導入も計画。「更新手続きや各種案内など、紙が主流となっているこの間のやり取りをデジタル化したい。メールは見なくても、毎日使うアプリのプッシュ通知なら見られる可能性が格段に高くなる」(小暮氏)と、次期バージョンについても触れた。
Wi-Fi、Bluetooth、赤外線、ZigBee、Z-Waveなど、あらゆる通信規格に対応していることも特徴の1つ。中でも注目はIoT向け無線規格として低電力、長時間運用ができるZ-Waveだ。「いろいろなハードウェアを、1つのアプリから管理できる。ゲートウェイを使うことによって、あらゆるハード、通信規格を超えて、アリッサ上でのコントロールが可能になる」(小暮氏)と、今後を見据える。
自社開発のアリッサを開発、運営する一方、10月には米国のAI開発ベンチャー企業「Brain of Things(BoT)」への出資を発表した。BoTは、2009年にスタンフォード大学で人工知能における博士号を取得したアシュトシュ・サクセナ氏が設立。AIスマートハウス「CASPAR(キャスパー)」を提供し、米国で200戸の導入が進んでいる。
CASPARは住居内に設置した、振動、動き、紫外線、温度、湿度、照度を測定できるセンサから、人がどこにいて、何をしているのかを認識。マイクも備え生活音を集音しているほか、壁に内蔵したスピーカを通して音声操作が可能だ。
そのすごさは学習能力だ。例えば起床後カーテンを全開にはせず半開にしていると、人が起床したことを認識し、カーテンを半分だけ開ける、夜中に水を飲むために起きることが続くと、キッチンの照明を明るさを抑えてつける、といった住民の暮らしに合わせたスマートハウスを構築できる。
インヴァランスのスタッフが、CASPARを導入した一室で暮らしたところ、約3日で住民の暮らしの“くせ”を理解し、それに合わせたサポートをするようになったという。
「1日に人間が住居内でするアクションは90程度といわれていて、そのうちの80%くらいはCASPARが代わりにやってくれるようになる。これが普及すれば、スイッチを押さない生活が実現できる」と小暮氏はCASPARがある暮らしを提案する。
小暮氏は、「アクティブユーザー数92%の結果からもわかるように、スマートハウスは一度使ったら、使う前には戻れない、必要不可欠なものになる。アリッサ搭載マンションは入居率も高く、引っ越す際も『次もアリッサ搭載マンションに住みたい』というニーズも出ている。今後も住民に寄り添ったアプリを作り提供していきたい」とスマートハウスの必要性を説く。
インヴァランスでは、2018年春にCASPARを導入した新築分譲マンションを導入する予定。立地や住空間にこだわって開発してきたマンションにアリッサとCASPARで新しい価値を加える。
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