マサチューセッツ工科大学(MIT)コンピュータ科学および人工知能研究所(CSAIL)の研究チームは、廊下や道路の角に隠れて見えない物体の存在などを、スマートフォンに搭載されているような普通のカメラで撮影するビデオから推測できる画像処理システム「CornerCameras」を開発した。
このシステムは、曲がり角に設けられた壁の陰を透視するかのような技術。陰の部分に人や物が存在すると、そこに当たった光は反射して床や路面におぼろげな模様を作る。ビデオで撮影したこの模様を解析することで、人などの移動経路や速度をリアルタイムに導き出せるという。
反射光を利用して直接見通せない場所の状況を解析する技術は以前から存在するが、既存技術は特殊なレーザー光を照射する必要があったり、カメラを特定の場所に設置しなければならなかったりと、制約が多いそうだ。これに対し、CornerCamerasは特別な光源が不要で、屋外の環境光でも機能する。さらに、研究チームが技術の実証に利用したスマートフォンのカメラなど、ありふれた撮影機材が使える。
研究チームは、この技術が火災などの現場で人を捜す救助システムや、物陰から飛び出してくる子どもなどを事前に見つける自動運転車向けシステムなどに応用可能と考えている。
ただし、今回開発したシステムの性能はまだ不十分で、暗いところではうまく機能しない。また、明るい昼間の屋外でも、雲が多くて太陽が頻繁に隠されたり現れたりする状況だと、正しく解析できなくなる。研究チームは、こうした弱点の解消に向けた取り組みを続けるとしている。
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