アドビ、「Typekit」に国内4社・74フォントを追加--「秀英体」などが利用可能に

 アドビシステムズは9月27日、クリエイティブプラットフォーム「Adobe Creative Cloud」のフォントライブラリサービス「Adobe Typekit」において、日本のフォントメーカー4社、74フォントを新たに追加したと発表した。


「Typekit」に和文フォント74書体を追加

 今回追加されるのは、視覚デザイン研究所の「VDL-ロゴG」や「VDL-メガ丸」、「VDL-ラインG」「VDL-ロゴ Jr ブラック」などVDLフォント36フォントのほか、字游工房からは「游明朝体R」など4フォント、大日本印刷は主要書体の「秀英明朝」をはじめ、「秀英四号かな」「秀英角ゴシック金」「秀英角ゴシック銀」など秀英体20フォント、フォントワークでは「筑紫丸ゴシック体」や「マティス Pro」などを含めた14フォントが新たに加わる。

 これにより、Typekitで利用できる和文書体は171フォント、欧文書体は1万フォントを超えるフォントライブラリに成長した。Creative Cloud有償メンバーであれば自由に利用でき、印刷物をはじめウェブサイト向けのフォントとしても利用できる。

 Typekitに含まれる書体の選定について、アドビシステムズ研究開発本部日本語タイポグラフィシニアマネージャーの山本太郎氏は、「基本的には、フォントメーカーの希望が尊重されるべき。書体が重複したり、文字セットの違い、どの文字セットを提供するべきかなどを相談し、それぞれのメーカーの考え方をできるだけ反映している」という。Typekitは、フォントメーカーのショーケースとしての意味合いもあり、Creative Cloudユーザーにフォントをまず使ってもらい、そのメーカーの別のフォントなどの購入につなげる導線の役割も持つという。

 視覚デザイン研究所取締役の葛本篤史氏は、「ウェブフォントにおいて、今後Typekitによる利用は主流になると確信している」としたほか、「企業やデザイナー、クリエイターのみならず、個人のユーザーでも自分が見せたいフォントでコミュニケーションできるようになればと考えている」と述べた。


「VDL-ロゴG」

 字游工房代表取締役の鳥海修氏は、「游明朝体には6ファミリあり、一部はmacOSにプリインされている。今回はそれを補完する意味合いで『游明朝体R』を入れることにした。この書体は本を組むことを目的としており、InDesignユーザーにこの書体で良い本を作って欲しい」と語った。


「游明朝体R」

 大日本印刷 秀英体開発グループ グループリーダーの伊藤正樹氏は、「秀英体は100年の歴史があり、活字、DTPと時代に合わせて少しずつ改良している。クラウド環境での利用はますます普及するため、Typekitに収録されるのは次の100年につなぐ一歩だと期待している」としている。


「秀英明朝」

 最後に、フォントワークスCTO兼企画推進部部長の佐藤雅己氏は、「筑紫シリーズは、新しいフォントだが、オリジナリティを評価してもらっている」とし、「マティスやUD書体といった使用頻度の高いフォントなど、デジタル領域に強いフォントをそろえている。Typekitでの提供を通して、オリジナリティあふれる書体をクリエイターに楽しんでほしい」と述べた。


「筑紫書体シリーズ」

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