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イタンジ、目標はエンジニア7割の不動産会社--“使える”ツールを生み出す秘密は「現場」 - (page 2)

加納恵 (編集部)2017年10月03日 08時30分
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エンジニア全員が不動産業経験者、イタンジ流の人の育て方


--いずれも今までの不動産業にはなかったサービスだと思いますが、実際にどうやって生み出しているのですか。

 サービスのアイデア出しから、開発まですべてエンジニアが担当しています。イタンジでは、エンジニアであっても必ず不動産業の仕事を体験してもらう期間を設けています。不動産会社で物件をお客様に紹介したり、オーナーの方から物件を獲得したりといった仕事を実際に体験しているんですね。

 その中で、毎日物件確認の電話を取って耳が腫れたエンジニアが作ったのがぶっかくんですし、1日中、内見予約の紙をファクスして「これはおかしい」と感じた人間が作ったのが内見予約くんです。いずれも、日々の業務から生まれる疑問をデジタル化して解決しています。

--とても珍しいサービスの作り方だと思いますが、なぜ不動産業をエンジニアの方に経験してもらおうと考えたのですか。

 わたしは現場に答えがあると思っていて、「一番最初に飛び込むペンギン、ファーストペンギンになれ」というのが企業姿勢です。社内でも不動産投資を推奨していますし、入社した人はエンジニアにかぎらずほとんどのメンバーが仲介業をやったり、管理を経験してみたりといった不動産業を経験しています。

--中には、不動産業を実際に体験するのは苦手と感じる人もいませんか。

 そのためエンジニアについてはインターン制度を設けていて、実際にイタンジで働いてもらいながら、採用を進めていきます。中途の方であれば土日や平日は1日だけ、学生インターンであれば長期間など、インターン期間は人によってさまざまですが、1日だけでも平日に働いていただくことで、会社の雰囲気がわかるようにしています。最近はエンジニアの数が足りないとよく聞きますが、全体のパイからみれば、イタンジに合った働き方をしてくれるエンジニアの方を集めることはできています。ただ、採用にはインターン期間を設けるなどの時間もかけていますし、すごく努力もしています。

強みは人材、2018年にホテル事業をスタートする理由とは

--今後、現場から生み出されるのはどういったサービスなんでしょうか。

 実は、2018年中にホテル事業をスタートします。オペレーション会社と組みながらホテルの業務のIT化に取り組みます。ここでも、システムの作り方は同様で、エンジニアに受付や予約、掃除といったホテルの業務を体験してもらい、その中からホテルに合ったサービスをシステム化していきたいと思っています。

 日本は2020年に向けてインバウンド需要が期待されますが、一方で、日本の人口は減っていきますよね。そうした人手不足の中でもIT化することでホテル業はできるはずです。今までのやり方では気づかなかった新しい業務の仕方を見つけられると思っています。

--イタンジの強みは人材ですね。

 その通りです。そうした人材が作ったシステムはあらゆるデータを取得できますから、データを活用したビジネスも考えています。特にトランザクションデータが取れるのはイタンジのもう1つの強みだと思っています。

 例えば空き室確認は、facebookでいう「いいね!」みたいなもので、物件に対する関心度がわかります。さらに内見予約が入れば、興味の度合いがわかりますし、成約まで結びついたどうかもデータから知ることができます。

 さらにノマドクラウドを使えば、お客様がいつログインして、どんな会話が交わされているのかもわかる。これらのデータを活用すれば、不動産のマッチング精度はさらに上がると思います。ぶっかくんでデータが登録された瞬間にノマドクラウドの物件が提案され、お客様と自動的に会話が始められるという一気通貫の状態も実現したいと思っています。

--協業などについてはどう考えられていますか。

 協業って相当難しいと思っていて、現時点では顧客やデータ基盤を大きくすることの優先度が高いと思っています。交流自体はぜひ進めていきたいですが、今のフェーズでは事業提携や協業よりも、目の前のことに取り組むことが先ですね。

--今後の展開を教えてください。

 さらに多角化していくイメージをもっていて、成長機会のあるところに人とノウハウと技術を落とし込んで、事業を立ち上げること繰り返していきたいですね。イメージでいうと社員の7割がエンジニアという総合不動産会社を目指します。

 わたし個人のテーマはリアルとテクノロジの融合なので、線引をなくすことで、不動産業界を変えていきたいと思っています。

インタビュアー

赤木正幸

リマールエステート 代表取締役社長CEO

森ビルJリートの投資開発部長として不動産売買とIR業務を統括するとともに、地方拠点JリートのIPOに参画。再生エネ業界においては、太陽光パネルメーカーCFOや三菱商事合弁の太陽光発電運用会社の代表取締役社長CEOを歴任。政治学修士、経営学修士、コロンビア大学とニューヨーク大学にて客員研究員。

 

川戸温志

NTTデータ経営研究所 マネージャー

IT業界の経験に裏打ちされた視点と、経営の視点の両面から、ITやテクロノジーを軸とした事業戦略立案や新規ビジネス開発、アライアンス支援を得意とする。近年は特にX-Tech(不動産テック)やロボット、AIなど最新テクノロジー分野を中心に手掛ける。経営学修士(専門職)。

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