行きつけのカフェにはいつも行列ができていて、時間がある時にしかお気に入りのコーヒーを買えない。忙しい日でも、店頭ですぐに受け取れないものか――。こんな誰もが経験したことがあるであろう待ち時間のストレスを解消してくれるのが、Showcase Gig(ショーケース・ギグ)が提供する事前注文アプリ「O:der(オーダー)」だ。
O:derは、来店する前にあらかじめ商品を注文・決済することで店頭で待たずにキャッシュレスで受け取れるアプリ。ユーザーは、目的の店舗のページから注文したい商品を選んでカートに追加。受け取り予定時間と、決済方法(クレジットカードまたは店頭現金支払い)を選んで注文を確定する。あとは、店舗からプッシュ通知が届いたあとに商品を受け取りに行くだけだ。購入後は、その店のデジタルスタンプが手に入り、貯めるとクーポンなどと交換できる。
ターゲットは、特定の店舗で頻繁に商品を購入する常連客。前述したようなカフェでのスムーズな受け取りだけでなく、たとえば、仕事を終えて保育園に子どもを迎えに行った親が、帰り道で事前注文しておいたお弁当や料理を受け取るといった使い方もできる。キャッシュレスで買えるため、親は荷物で手がふさがっていても財布を出す必要がないし、すぐに受け取れるため、料理が出来上がるまで店内で子どもが騒いだりするといった不安も減るだろう。
なお、一部の店舗ページでは実験的に接客用チャットボット「O:der Cognis」も導入している。たとえば、チャットで温かい飲み物がいいと伝えれば、メニューの中からホットドリンクをお勧めしてくれる。気に入ればそのまま注文することも可能だ。現在は、同社が2016年3月に東京・青山にオープンしたコーヒースタンド「THE LOCAL」のページなどで運用されている。
一方の店舗側は、専用アプリをインストールしたiPadなどで顧客からの注文を一元管理でき、料理や飲み物が完成したら顧客のアプリにプッシュ通知で知らせることができる。また店舗向けアプリでは、注文されたメニューに加えて、調理伝票を表示して印刷することもできる。さらに、アプリから日々の売上げをリアルタイムに確認することも可能だ。
O:derは、トリドールホールディングスが展開するかつ丼・トンテキの専門店「豚屋とん一」や、イオンモール長久手の「星空レストラン」など、試験導入も含めるとこれまでに約100店舗の飲食店やカフェなどに導入されているという。また、8月28日にはファーストフードコラボ店「ファーストキッチン・ウェンディーズ」に導入された。さらに、8月12日〜9月10日まで宮城県仙台市で開催された「ジョジョフェス in S市杜王町 2017」に採用され、店舗のセルフオーダーや、展示会の入場順番待ちなどに活用された。
導入店舗では効果も現れているという。たとえば、ある飲食店ではO:derを導入したことで、キッチンの生産効率が1.7倍に改善。また、ユーザーはレジの前でなくアプリ上でゆっくりカスタマイズやトッピングなどを選べるため、客単価が30%上がった店舗もあるそうだ。
ある弁当屋はO:derを導入してから、電話での注文受付けをやめたという。電話だと聞き間違いによる注文ミスが発生しても証拠がなくトラブルにつながったり、調理中で手が汚れていてすぐに出られなかったりすることもあるが、O:derのアプリ管理であればこうした店舗側のストレスも解消できるからだという。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス