世界各地の送電網に、ハッキング攻撃を受けた形跡があることが分かった。
セキュリティ企業Symantecの研究者らは、米国、トルコ、スイスなどの送電施設に、同社が「Dragonfly 2.0」と呼ぶ大規模なハッキング活動の痕跡を発見した。Dragonflyとは、この攻撃を仕掛けているハッカー集団の呼称だ。
2011年には早くも始まっていたこの活動により、エネルギー業界の職員らに悪質な電子メールが送信されるなどしたと、Symantecは述べた。最初の攻撃は2014年に収束したが、2015年12月に、大みそかのパーティへの招待状を装ったフィッシングメールとして再び開始されたという。
ハッカーらはこうした送電網へのアクセスを取得する可能性があり、停電を引き起こす恐れがあるとSymantecは警告した。
重要なインフラへの攻撃は、停電であれ交通信号機の停止であれ、直ちに大混乱を引き起こす可能性があるため、国家に対する大規模な脅威となる。こうしたシステムは、ソフトウェアが古く、インフラのアップグレードにコストがかかるため、脆弱である場合が多い。
脆弱な送電網がハッカーに攻撃された場合に何が起き得るかは、世界中が既に目にしている。ウクライナは2016年12月、ロシアのハッカーらの攻撃を受けて停電し、首都キエフの市民は1時間、電気のない状態を過ごした。2016年には、セキュリティ規格を引き上げて米国の重要なインフラをサイバー攻撃から保護するための法案が米議会に提出された。
Symantecの技術ディレクターを務めるEric Chien氏は、「明日停電が起きるとは思っていない」が、Dragonfly 2.0のハッキングによってそれが「技術的に可能」だと述べた。Symantecは、ハッカーらが複数の電気会社から、機器の説明や場所などを含むドキュメントのスクリーンショットを取得している痕跡を発見した。
Dragonflyの攻撃は、2016年と2017年の全体にわたって増加したとSymantecは述べた。ハッカーらは悪質なメールを送付し、標的のコンピュータ上にウイルスをインストールすることができる偽の「Flash」アップデートを作成したという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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