銀行と銀行口座の利用や資金の保全が困難な国々(特に、腐敗した政府が権力を握っている国々)の経済を活性化する方法として、仮想通貨を考えている企業がある。
Blockstreamもそうした企業の1つだ。同社は、ビットコインネットワークを宇宙空間におくことで、インターネットへの安定したアクセスが確保できない地域でもビットコインを活用できるよう支援したいと考えている。
Blockstreamは米国時間8月15日、「Blockstream Satellite」を発表した。同社はこれを、「地球上の誰もがビットコインに参加できることを目指す旅の、さらなる一歩」と呼んでいる。
Blockstream Satelliteは、ビットコインの決済処理を宇宙空間の衛星からリアルタイムでブロードキャストできる方法とうたわれている。これによって理論上は、誰もがビットコインネットワークに自由にアクセスできることになる。
たとえば、アフリカの農村地域にいるトレーダーでも、ニューヨークの中心部にいる人と同じように、このネットワーク上で取引できる。
世間一般の人々が自分のビットコインを管理するようになれば、政府に起因する通貨価値の下落という問題を回避できるかもしれない。インドとベネズエラの最近のケースでは、インド政府が多くの紙幣を市場から強制的に回収したことで低所得者や小規模事業者の多くが打撃を受け、またベネズエラの経済破綻は大混乱をもたらした。
どちらも政府によって引き起こされたもので、仮想通貨なら、そうした問題が繰り返されるのを防げる可能性がある(これに対する反論は、ビットコイン価値の変動性が単純に新たな経済問題を生み出すおそれがある、というものだ)。
Blockstreamは、仮想通貨へのアクセスを全世界に拡大することが前へ進む道だと確信している。
このネットワークを利用するには、PC、テレビの衛星放送受信アンテナ、受信機のほかに、SDR(Software-Defined Radio:ソフトウェア無線)ドングルが必要だ。ユーザーはBlockstreamの衛星と同期してブロックチェーンを利用できる。ただし、このプロジェクトは、ネットワーク上で実際に取引をするには依然としてインターネット接続が必要になる問題を解決できていない。
Blockstream Satelliteプロジェクトの責任者を務めるChris Cook氏はMotherboardの取材に対し、次のように述べている。
われわれは、人々がテレビの衛星放送受信アンテナを別の目的で利用したり、古いアンテナをどこかで見つけてきたりできるようにしたかった。そうしたアンテナはどこにでもあるからだ。あとは、20ドルの小さなUSBドングルと、1台12ドルほど(の受信機)さえあればいい」
現時点で、Blockstream Satelliteはすでに全大陸の3分の2を占める地域で利用できるようになっている。これを、どの大陸のどの場所にいても利用できるようにする同社の計画は、2017年末までに実現する見込みだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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