PC、スマートフォン、モバイルルータ――日々の仕事で必要なデジタルアイテムを持ち歩く人にとって、鞄の中身の軽量化、アイテムの小型化は重要な問題だ。その中で、手放せないけれど重く、場所を取るものの1つがPCのACアダプタだろう。
出張や移動が多い人にとって、ACアダプタは必需品。しかしものによっては200〜500gの重量があり、太めのケーブルのものは取り回しも良くない。さらにメーカーごとに電圧、容量などが異なり、流用できないケースもある。そんなACアダプタの“課題”を解決するのが、米FINsix(フィンシックス)製のACアダプタ「Dart(ダート)」だ。
FINsixは、2011年に創業したスタートアップ企業。MIT(マサチューセッツ工科大学)で学んだAnthony Sagneri氏が立ち上げ、現在はIT業界に長く携わる経験者などを含め約30名が従事している。
Dartは、MIT発の高速スイッチング技術を用い、重量約85gの小型、軽量を実現したACアダプタ。一般的なACアダプタに比べ、大きさ、重さを約4分の1にまで抑えた。本体には9種類のプラグを同梱し、Acer、Asus、HP、Dell、富士通、レノボ、NEC、VAIO、東芝などのノートPCと接続ができる。また18~21V、65W以下の電力レベルのノートPCであれば、DARTで正常に使用可能。2017年末には、Macbookなどに対応したDart-C/Type-Cケーブルを販売予定だ。
現在、ワンモアが手がけるクラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING by T-SITE」でクラウドファンディングを実施中。先着30名のSuper Early Birdで9300円、先着80名のEarly Birdで9900円、限定140名のValue Plusで1万800円、GREEN限定で1万1400円、2個セット割で2万円、5個セット割で4万8000円。10個割セット9万3000円で、出資を募っている。
出品しているのは、FINsixアジア総代理店を務める丸文。半導体、電子部品などを販売するエレクトロニクス商社で、創業は1844年。2017年で173年を迎えた。丸文では、米国のスタートアップ企業における新技術や新規事業の調査を重ね、“尖った”技術を常にチェックしているとのこと。「FINsixは高周波スイッチング電源で高い技術力を持つスタートアップ企業。そこに注力し、現在出資している。役員にも丸文の人間が名を連ねている」(丸文 ディオネカンパニー課長の樋口智昭氏)と、FINsixとの関係を説明する。
「高周波スイッチングは、各メーカーがチャレンジしてきたが、効率が落ちる、量産化が難しいなどの課題からなかなか製品化できなかった技術。FINsixでは、独自の技術を用い、電源効率を95%を達成。また、1つずつチューニングが必要だったものを設計段階でチューニングすることで、量産化を実現した。これにより、今までになかった小型軽量かつ高効率のACアダプタができた」(丸文 ディオネカンパニー Executive Expertの佐藤一徳氏)とのこと。論文などでは発表されていたが、量産化できなかった壁を自らの技術で打ち破っているという。
通常のACアダプタの電源効率が88%程度に対し、Dartは95%のため、ACアダプタ本体が熱くなるといったエネルギーの無駄も排除。「地球にやさしい電源」(樋口氏)と強調する。
丸文ではBtoBのビジネスがメインで、BtoC向けはDartの取り扱いがほぼ初めて。そのため「テストマーケティングも兼ねてクラウドファンディングを利用したかった。いわゆるモバイルワーカーと呼ばれる30〜40代のビジネスパーソンをターゲットと想定しているため、ターゲット層が多く利用するクラウドファンディングという点でもユーザー層が合致する」(佐藤氏)とGREEN FUNDINGで実施する理由を話す。
米国ではすでに発売しており、Kickstarterでは約5000万円の資金調達に成功。樋口氏は「車移動が多い米国に対し、軽量化に対するニーズは日本のほうが高い。特に都市部は電車移動が中心なので、需要としては米国以上になると思う」と期待を寄せる。
本体ほか、9種類のプラグ、USBポート付きのケーブル、携帯用ポーチを同梱。「進化がわかりづらいACアダプタだが、Dartの良さは使ってみると納得できる。一度使ったら戻れない」(樋口氏)とのこと。アジア総代理店という立場をいかし、日本以外の国にも広げていきたいという。
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