各サービスがオリジナルコンテンツ、強化ジャンルなどの戦略を敷いているが、視聴数が伸びるコンテンツはどんなものなのだろうか。
DAZNの水野氏は「最近の例だが、サッカーでスペインの2部リーグがよく見られている。もちろん1部リーグの注目度は高いが2部も配信していてよかったなと思った瞬間だった。そのほか興味深いのは、本田圭佑さんが所属するセリアAの試合。ライブの視聴数はそれほど伸びなかったが、キャッチアップはものすごく伸びた」と話題性とタイミングによってみられるコンテンツは変動するとした。
「テレビで話題になったものの関連作品が伸びる」(堤氏)という声もあり、最近では俳優高橋一生さんの関連作品が伸びる傾向にあったとのこと。「人軸で動くため、タイムリーに編成していくことが大事」(堤氏)だという。
コンテンツを取り巻く話題や環境から人気作を探し出していくサービスに比べ、GYAO!では「Yahoo!ページに入口を持つため、話題化させる力も持っている。話題に対して乗っかっていく一方で、話題化させることも大事。無料と有料の2つのサービスを持っているためできること」(半田氏)と、特性を話した。
一方で、見てもらいにくいコンテンツはあるのだろうか。海外ドラマコンテンツにも強いHuluでは「1話目がスローな展開だとなかなか難しい。逆に1話が面白いものは急激に伸びる。あとは鮮度。古い作品でも見てもらえるものは一部」と現状を話す。
長澤氏は「コンテンツが旬の期間は、短ければ公開後1週間程度。ただ海外ドラマ『クリミナル・マインド』のように長く続くシリーズ物は、現時点でもシーズン1が見られる。これは『ウォーキング・デッド』も同様。映画に関しては特に旬はないと感じている」とした。
それに対しdTVの笹岡氏は「コンテンツ自体の力も大きいが、コンテンツの見せ方でも人気は左右する。旬の期間をコントロールできるのがVODサービスのいいところ。そのためどれだけコンテンツに触れてもらえるかをつねに意識している」とインターフェースの重要さを訴えた。
「公開から3日目と4日目で大きく数字が変わる」と話すのはGYAO!の半田氏。「テレビ番組の見逃しコンテンツなども、3日目と4日目で数字は一気に変わる。ただし『北斗の拳』『SLAM DUNK』といった人気アニメ作品は、旬という言葉が存在しないくらい長く見続けられている」とした。
マルチデバイスを打ち出すVODサービスで、今後の視聴デバイスについては、各社ともに「スマートフォンとテレビ」と回答。dTVの笹岡氏は「スマホは10代にとって大変身近なデバイス。スマホで映像を見ることが普通と感じる世代の割合が増えていく。ただし、アーティストライブの生配信などプレミアムなコンテンツは大きなスクリーンでという気持ちからか、テレビで見ているユーザーが多い。シーン別の使い分けだと思っている」と現状を分析する。
Huluの長澤氏は、ここ数カ月でショッキングだったこととして「歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさんが理想の彼氏のタイプとして『Huluの設定ができること』と話してくれたことがあった。それに対してのツイートを見ると『ハードル高すぎ』という意見が多く『そんなのは簡単』と言ってくれる人があまりいなかった。動画配信に対する理解はまだその段階。もっと簡単に見られることを知っていただきたい」とコメント。ファンを広げていく意向を示した。
DAZNの水野氏も「Jリーグのコアファンには加入してもらった。次のステップはJリーグ以外のスポーツファンにアピールしていきたい」と、さらなる広がりに期待する。ユーザー像としては「レンタルビデオユーザーをデジタルの世界に入れたい。そのターゲットにデジタルの利便性を伝えていくことが大きな課題」(U-NEXTの堤氏)とし、各社ともにさらなるユーザー層の拡大を見据えている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」