中国発で世界最大の自転車シェアリングサービス「Mobike」は6月23日、福岡に続き、札幌でのサービスを開始すると発表した。2017年中のローンチを目指す。
Mobikeは、2016年4月22日に上海市でローンチして以降、中国を中心に100以上の都市で利用されている。1日の利用回数はピーク時で2500万回、登録利用者数1億人、運用されている自転車の台数は500万台を超えるなど、急速に成長しており、6月16日にはテンセントから6億ドルを調達した。中国以外では、2017年3月にシンガポール、5月に英マンチェスター市と提携を発表。6月22日には福岡市と提携した。
Mobikeの最大の特徴は、駐輪スペースであれば、どこに止めても自由な点にある。Mobike専用の自転車は、モバイルネットワークとGPS通信用のモジュールを搭載しており、停車位置をリアルタイムで把握できる。利用には、自転車に取り付けられたQRコードを専用のスマートフォンアプリで読み取り、アプリ上で決済すると鍵がアンロックされる。使用後は、フリーの自転車として他のユーザーが利用することができる。
自転車は4年間のメンテナンスフリーを実現しており、車重はあるものの非常に頑丈に作られている。空気要らずのパンクレスタイヤを採用。ブレーキはディスクタイプで、駆動部はチェーンではなく自動車と同じドライブシャフトを採用している。また、サドル部分は簡単に調整できるようになっているものの、盗難防止としてフレームから外れないように工夫されている。キックスタンドも頑丈だ。
決済手段は、中国では「WeChat Pay」を使用。シンガポールやイギリスでは、クレジットカードや「PayPal」「Apple Pay」などに対応している。日本では、主流のモバイル決済サービスがまだ存在しないため、出来る限りの決済手段を用意するとしている。中国での利用料は、1回あたり10〜20円と非常に安価。同額とはいえないものの、日本でも“気にならない価格”で展開するとしている。
行政とも連携しており、中国では、北京大学や北京の交通管理局と連携して膨大な自転車の利用ルートを分析。公共交通機関の最短ルートなど、都市開発に活用しているという。Mobikeは、各国の市政と提携し、その都市にあったスタイルで展開する。Mobikeで海外展開を統括するクリス・マーティン氏は、「中国には500万台の自転車が走っているが、同じ量を日本で展開することはない。行政・市民・民間パートナーが快適にスタートできるように心がける。オペレーションが順調に進めば、行政と調整しつつ需要と供給のバランスが合うところまで台数を引き上げたい」とした。
なお、札幌での展開については、「ALL HOKKAIDO」で展開するクリエイティブカンファレンス「No Maps 2017」の発表会で告知された。同イベントは、産官学連携で北海道版「サウス・バイ・サウスウエスト」を目指すイベントで、札幌の街中に最先端のビジネス、映像、音楽が集結する。このイベントは、各許認可で実証実験しづらい新サービスの社会実装を容易にするもので、“実証実験の聖地”を目指している。Mobikeの札幌展開は、No Mapsを経由して実現した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス