AとBの選択肢があり、Aを選んだら、Bのことは忘れるのが普通だろう。ところがここで、「Bを選ばなかったこと」で得られるものの価値の実体、「Bを選んだ場合に得られたはずの価値」などを考えるとしたら、Bのことを忘れられなくなるかもしれない。
本書は、「機会費用」という経済学の考え方を用いて、目に見える金銭の移動がなかったとしても発生する費用について、さまざまな身近な事例を用いて、分かりやすく解説してくれている。たとえば、長時間行列に並んでまでiPhoneを買う行為、海外からわざわざ東京ディズニーランドに来る行為などを取りあげている。なぜ、並んでまでiPhoneを選ぶのか、なぜ、近所の公園ではなくディズニーランドを選ぶのか、そういった行動を起こさせるものの価値と、目に見えにくい費用対効果に目を向けさせる。
普通は、機会費用について常に考えている必要はないだろうが、本書を読むことで、行動に伴う結果によって「損をした」「得をした」などと思う理由について、客観的に見る機会になるであろうし、今後の自分の行動を変えるきっかけになるかもしれない。本書を「読む」という選択をした場合と、「読まない」という選択をした場合を考えてみると、どうなるだろうか。
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