ソニーマーケティングは6月21日、カスタマーサポートで培ったノウハウを各企業へと提供するコンサルティングサービスを開始すると発表した。オウケイウェイヴ、ベルシステム24と協業し、効率化とリスクマネジメントを両立させるカスタマーサポートの導入を支援する。提供開始は7月1日。協業する2社が窓口になる。
提供するのは「お客様対応における組織的運営体制構築のコンサルティング」「製品・サービスにおける市場対応スキーム構築のコンサルティング」の2つのパッケージ。オウケイウェイヴ、ベルシステム24の2社が請け負う案件の中で提供していくという。
今回のパッケージ提供にあたり、ソニーマーケティング内では、サポート業務に携わる10名が参加。カスタマーサポートを実際に担うスタッフを配置することで、リアルな現場の課題解決に向き合っていくという。
ソニーマーケティングでは、長年にわたってカスタマーサポートを実施。電話をはじめ、メール、チャット、LINEなどさまざまなサポートメニューを導入してきた。その中でもリアルタイム性が高く、履歴が残ることで、チャットやLINEはユーザーからも好評を得ているという。
試行錯誤を重ねる中で、見えてきた課題は「ベテラン人材のノウハウが継承されていかない」「個人スキルへの依存度が高い」といった点。ソニーマーケティングでは、これらの課題をなくすため、運用、ノウハウを可視化。一つずつ文字に起こしながら、教材を作り上げていったという。
こうした取り組みはソニーグループ内で話題となり、So-netやソニー・インタラクティブエンタテインメントなどから導入したいという声を受け、今回のパッケージ提供に至ったとのことだ。
ソニーマーケティング 執行役員 カスタマーサービス本部長の阪口顕弘氏は「カスタマーサポートの可視化は、各社共通の悩みなんだろうと思った。しかし、一律で同じ教材を導入すればいいのではなく、各企業にあった形に作り上げることが大事。またリスクマネジメントの観点からいえば、起きたことを解決するのではなく、起きる前にどうするか、起きた後にどうするかを個人のノウハウではなく、組織の仕組みの中でどう位置付けていくかが大切」とした。
阪口氏は2011年に起こったPlayStation Networkにおける情報流出を例に挙げ「あの時社長の平井(一夫氏)が言ったのは『とにかく起きていることをすぐに伝える』ということ。従来であれば対処の仕方が出来上がってから公表していたが、まずは今の事象を伝えるようにとのメッセージが出た。これをやるには日ごろから準備していないとできない」と、ソニーの対応について話した。
今回のパッケージでは、現状確認、課題の抽出、課題解決に向けたプランの提案、アクションプランの実行とドキュメント化の支援などを手掛けていくとのこと。単にドキュメント化を担うのではなく、仕組みづくりを支援するサービスを目指す。
各ステップではソニー内での対応を各企業の課題と比較することで明確な理解を促す。テンプレートやマニュアルもソニーが使用する実物を活用することで、構築期間の短縮にもつなげるという。
コンサルティング料などは、オウケイウェイヴ、ベルシステム24経由になるため明らかにされなかったが、通常、各企業のサポートでは初期費用と月額利用料が発生する。各種パッケージ構築までの期間は大体1年程度とみている。
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