LogicLinksが4月30日に発表した、7月1日から開始予定のMVNOサービス「LinksMate」。ゲームユーザーに向けたMVNOサービスとして、スマートフォン向けゲームアプリのカウントフリーオプションを導入しているのが特徴だ。
このカウントフリーオプションを利用することにより、対象となるゲームやコンテンツ、SNSに限り、通信量のカウントが90%以上オフになる。対象となるアプリには、「グランブルーファンタジー」(グラブル)、「Shadowverse」「BanG Dream!(バンドリ)ガールズバンドパーティ!」「刀剣乱舞-ONLINE- Pocket」「あんさんぶるスターズ!」などといった、ゲームに対してアクティブなユーザー向けといえるタイトルが並ぶ。4月30日時点で7社11タイトルの対応を予定し、今後も順次追加予定。
またカウントフリーオプション利用者には、さまざまな形でゲーム内アイテムの付与といった特典も用意。ゲーム以外にもSNSの「Twitter」や「Facebook」、動画配信サービスの「AbemaTV」や音楽配信サービスの「AWA」にも、サービス開始段階からカウントフリーオプションに対応する。
回線はドコモのネットワークを活用。またどのプランでも、SMS機能は標準付属している。サービスプランは5Gバイトから4種類用意され、5Gバイトプランの場合で月額1500円(税別)から。電話が利用できる「音声通話機能」はオプションとして月額600円(税別)。また特徴としているカウントフリーオプションは月額500円(税別)で、2017年内はキャンペーンとして無料となっている。
LogicLinksは2016年11月に設立。Cygames在籍時にグラブルのプロデューサーを務めていたことでも知られる春田康一氏が代表取締役を務める会社で、主にゲームデータ分析やゲーム開発サポートなどBtoB向けの事業を展開。今回新たにBtoC向けの事業となるMVNOへの参入を発表した。その発表の場となったニコニコ超会議2017のステージイベント直後に、MVNO事業参入やLinksMateの狙いを春田氏に聞いた。
――まず、LogicLinks設立の経緯からお聞かせください。
グラブルを運営していたころから、より大きな範囲で、ゲーム業界全体に対してメリットのあることをしていきたいと考えていたのが、ひとつのきっかけと言えるかもしれません。
設立当初から、主にBtoBとなるデータ分析事業と開発サポート事業の2つを行っていました。データ分析事業は、Cygamesで使用している分析ツールをより広く活用していくことを目的としたものです。事業譲渡という形で譲り受け、各社に向けて展開しています。開発サポートは、ゲームタイトルの運営を行っていくなかで、私が経験してきたノウハウなどアドバイスをしています。なかなか対外的に聞くことができないゲーム開発や運営に対する疑問について、私なりの回答をお伝えするというものです。コンサルティングというよりは、あくまでサポートというスタンスですね。
――MVNO事業の参入は、以前から考えられていたのでしょうか。
MVNO事業参入ありきというよりはゲーム業界、そしてゲームユーザーに対して何ができるかを考えた結果ですね。すでにゲーム業界としてあるものを新たに展開しても、結局ユーザーの取り合いになってしまいますし、ユーザー自身も混乱してしまいます。なるべく今までないようなものを考えた結果、ゲームユーザーに向けたMVNOサービスとしていきついた形です。
――スマホゲームのリッチ化が進み、ゲームデータが通信も含めて増大しているのは、はたから見ていても感じています。また若年層を中心として、ネット環境がスマホだけという状況もあるかと思います。
ステージに集まった方の中にも、通信速度の制限を受けた経験を持つ人が多くいました。特にスマホゲームに親しむ若年層は、親に契約してもらったスマホを利用しているという状況も多いですし、PCを持っていないという方も少なくありません。自宅にネット回線があってWi-Fiで……という環境に乏しいのが事実としてありますし、公衆Wi-Fiも整備されつつありますが、まだまだ十分とはいえません。通信速度の制限を気にするよりは、できるだけ気にしない状況にするサービスを促進していきたいと思っています。
――モバイルゲーム市場は大きなもので、コアユーザーでなくてもゲームを楽しむ人はかなり多くいます。しかし、ゲームユーザーに向けたカウントフリーサービスはめずらしいのではないでしょうか。
私の知る限り、ゲームでは一部のMVNOサービスが特定のタイトルをカウントフリーとして採用しているぐらいだと思います。今回のLinksMateは、ゲームを親しんでいる方にこういうサービスがあったらいいのではないかと思ったものを取り入れたサービスですから、なぜこれまであまりなかったか……ということについて、深く考えていません。
ひとついえるのは、ゲームにおけるデータ、そして通信のやりとりはかなり複雑です。実際、カウントフリーオプションによるデータ通信量について「90%以上オフ」と表現しているのも、ゲームにかかわるもの以外のデータを通信している事例もあるからです。通信事業を行っている会社はもっと深いところまで把握されていると思いますが、われわれもデベロッパとして、ゲームに使われているであろうデータや通信をある程度把握しています。ですから、参加するうえでメリットのある提案を含んだ話をできるので、各社が参加を表明してくださったのかなと思います。
――各社へ打診したときの反応はいかがでしたか?
やはりカウントフリーとしたときに、提供しているタイトルに対してどのようなメリットが享受できるのかを気にされていました。今回ゲーム連携という付帯サービスもあわせて実現できることやメリット、そして今後はモバイルデータ業界の発展を通じてゲームを盛り上げたいとお話ししました。
――SNSはもとより、AbemaTVやAWAもカウントフリーの対象になっています。
スマホゲームユーザーは、Twitterなどでアクティブにコミュニケーションを取っていますので、そこは外せないだろうと。またAbemaTVについては私自身も使っているサービスでしたし、映像系のコンテンツはどうしてもデータ通信量が多いですから。アニメを中心に見ているユーザーが多いことを考えると、親和性も高いだろうと思っていました。
最近はライブ配信(生放送)を行う媒体も増えましたし、それを活用して情報発信を行うゲームメーカーも多いです。データ量を気にしてWi-Fi環境でないと見ることに躊躇するという状態は、ユーザーだけではなく発信側となるゲームメーカーにとっても機会損失につながります。こういったライブ配信サービスに対しても、今後カウントフリーオプションの適用を考えていきたいと思っています。最初にAbemaTVとAWAに対応したのは、サイバーエージェントグループとして近しい存在で話しやすく、理解していただいたのも早かったというところです。
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