Cerevoは3月23日、アニメ作品「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」内に登場するキャラクタ「タチコマ」を再現した電動フィギュア「うごく、しゃべる、並列化する。 1/8タチコマ」を発表した。同日よりCerevoのオンラインストアで予約を開始し、6月の販売を予定している。
Cerevoでは、家電のテクノロジを活用し、アニメやゲームなど“スクリーン”に登場するアイテムをリアルの世界で再現する「Screen to the Real(S2R)」プロジェクトを展開。第1弾はアニメ作品「サイコパス」に登場する「ドミネーター」を再現。高価格帯ながらも、高品質な作りやスマートフォンとのコネクティビティを使用した演出などで高い評価を得ている。
タチコマは、「多脚戦車」として、AIを搭載し、自ら思考して行動する自律型兵器として登場。今回はプロジェクトの第2弾で、走って喋るタチコマを8分の1スケールで再現する。価格は15万7400円(税別)となかなかに高価だが、コミュニケーションロボットとしての要素もあり、キャラクタ性やネット連携の機能なども含めて、Cerevoでは納得してもらえる価格ではないかとしている。
同社代表取締役社長の岩佐琢磨氏は「最近のアニメ作品、ゲーム作品に出てくるアイテムは、ネットワークにつながっている場合が多い。私も最近「ソードアート・オンライン」を観たが、AR、VRが当たり前に入ってくるような時代で、(ファントイも)家電のテクノロジを使わないと再現できなくなってきた」という。
岩佐氏は、「今回のタチコマは価格も性能もおもちゃを超えたと思う。私の両親もこれを見たらおもちゃよりもロボットと呼ぶだろう。おもちゃとは言わせないものに仕上げた」という。Cerevoでは、タチコマを「ロボタイズド・キャラクター」と称し、映像や固定された姿ではなく、三次元の世界で動いて喋るタチコマを目指した。開発には1年以上時間を要している。
原作の世界観に限りなく再現するために、動く、走る、話すに加え、並列化を実装。インターネットと接続でき、カレンダーとの連携によるスケジュールの読み上げ、天気予報の確認、Wikipediaでの情報検索、その日話題のトレンドやキーワードを話すことができるという。
本体には、15のサーボに6つのDCモーターを内蔵し、22軸の稼働自由度を採用。3本の脚部は各足に3つの自由度を持たせ、マニピュレーターも上下左右に動くことで、多彩な表情を再現する。正面の環境センサにはカメラを内蔵し、上下左右に目のように動かせる。脚にはそれぞれ独立したモーターを内蔵。専用のスマートフォンアプリで、タチコマに内蔵されたカメラの映像をリアルタイムで確認しながら、自在に走らせることができる。作中同様の超信地旋回も可能だ。
認識周りでは複数の技術を組み合わせており、音声認識には、グーグルの認識エンジンを採用。画像解析・判定には、マイクロソフトのコグニティブエンジンを使用し、グーグルの音声認識とマイクロソフトのデータベース間で、語彙を解析する部分にはJetrunテクノロジのシステムを用いているという。エーアイの音声合成エンジンを使用し、タチコマの声優を務める玉川砂記子さんの声をもとに、収録していない声も生成できる。なお、タチコマのクラウドプラットフォームにはAWSを使用しているという。
作中では、すべてのタチコマは同じデータベースを共有しており、どれか一つの個体が学習した事項をすべての個体に共有する「並列化」という機能がある。これを再現するために、タチコマが認識したオブジェクトごとに追加情報を学習させる機能を実装した。物体データベースに登録されているものの追加情報がないものについては、詳細を聞いてくるという。例えば、レモンを認識させた上で「レモンは甘いよ」と嘘の情報を教えると、ネットワーク上で他のユーザーが持つタチコマにも同期。後日、別のタチコマがレモンを認識し、「レモンです!甘いらしいですよー」と答えてくれる。
なお、タチコマとの会話や並列化はクラウドを使って実現しているが、こうした機能は月額課金なしに利用できるという。ただし、ウェブサービスの性質上、永久でのサービス提供を約束するものではないとしている。
【記事訂正】(3月24日15時00分)記事初出時、クラウドと連携する機能を2年間無料とし、その後は状況を見て案内するとしておりましたが、Cerevoからサービス仕様変更の連絡があったため訂正しました。
ドミネーターと同様、スペシャルエディションを用意。ガントレッド部分、主砲カバー、脚部分など9カ所にアルミの削りだしパーツを装備し、クオリティを高めている。価格は17万7400円(税別)。当初、初回販売時の限定生産としていたものの、予想以上にクオリティが高かったため需要があると判断し、スペシャルエディションの販売数については今のところ明確には決めていない。
攻殻機動隊は海外でも人気の作品であるため、タチコマの海外販売も予定している。オンラインストアのほか、代理店経由の販売も開始するという。ただし、言語対応の部分がネックになっているという。岩佐氏は、「翻訳すればいいのではという話にもなるが、玉川さんの声とは違う声優になってしまう」としており、スマートフォンアプリを英語に変更し、本体は日本語を喋る仕様で販売する。
「音声認識エンジンは、かんたんな英語なら認識してくれるが、返答は日本語で返ってくる。多少の日本語がわかるファンの方で、この仕様でもいいから欲しいという方に買ってほしい」(岩佐氏)という。
なお、ドミネーターの場合、海外の展示会に持っていくと、現地のファンが現金を握りしめながら「在庫はあるのか」と聞いてくることも多かったという。「我々も作ったかいがある。日本のコンテンツの強みを感じるとともに、世界中の人が共通の趣味でつながっているところに嬉しさを感じた」(岩佐氏)。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」