APIや既存のデータを活用し、プロ野球パ・リーグの新たなファン層を獲得するアイデアを短時間で開発するハッカソン「パッカソン 2017」が3月5日に大阪で開催された。主催のPLM(パシフィックリーグマーケティング)は2年前にプロ野球界初のハッカソンを成功させ、各チームの本拠地での開催を目指しており、オリックス・バッファローズの本拠地大阪での開催が決まった。同社が力を入れている「健康」をテーマとし、歩数に応じてファン球団や選手を応援できるスマホアプリ「パ・リーグウォーク」のAPや選手、マスコットなどのデータを提供。アプリ開発に協力したハーバード大学のソサエティアンドヘルスラボ(SHL)のリサーチャーを審査員に招き、事前に健康に関するレクチャーも行った。
開発時間は実質1日半という短い時間だったが、アイデア段階でのメンタリングなどを行うなどのサポートを取り入れた結果、6チームから完成度の高いアイデアが発表された。会場に使用された「The DECK」は、大阪ビジネス街のど真ん中にあるファブスペースを備えたコワーキングスペースだったことから、マイコンやセンサーを活用したIoTやガジェットを制作するチームも多かった。
グランプリ賞に選ばれたチーム・にゃん海ホークスの「パ・リこれスターズ」は、ウォーキングの総計によって各球団のマスコットを着せ替えたり、アレンジできるアプリで、ポケモンGOのようなAR機能を取り入れ、球場などに用意されたマーカーを識別してスペシャルユニフォームを手に入れるなどのゲーム要素が高められている点を評価された。プレゼンテーターによると、オリックス・バッファローズのマスコットキャラクター・バッファローベルことベルたんが、野球ファン以外から幅広く人気を集め、2次創作されるほどの盛り上がりを見せており、「パ・リこれスターズ」がポケモンのようにキャラクターの認知や人気を高めるきっかけになるかもしれない。
準グランプリ賞に選ばれたのはチーム・スイングが開発した、センサー付きのビニール製バットを使って、家の中でも野球あそびができるIoTゲーム「ポスト・イチロー」だ。スイングスピードに応じてポイントをゲットでき、他のユーザーとランキングが競える。最近は、キャッチボールを禁止する公園も多く、子どもたちが野球に関心を持つきっかけが減っていることから、未来のファン作りと親子のふれあいにもつながるという点が評価された。
SHL賞に選ばれたチーム・マイナス2の「パッ喰MAN」は、参加者から最も高く評価されていたアイデアだ。街を歩きながらパの付く店や場所に行くとポイントがゲットできるパックマンのようなゲームで、一定の個数を集めるとガチャで選手カードが集められ、好きな選手だけで好きなチームが作れる。バンダイナムコはパックマンをオープンソースとして公開しているのでコラボができる可能性もあり、実現性がかなり高そうであった。
今回のパッカソンで興味深かったのは、全チームがほぼ実際に動かせるところまで成果物を仕上げていた点だ。PLMの荒井勇気マーケティング室長も「パ・リーグだけでなくスポーツ全体やグローバルへ展開できそうなアイデアもあり、参加者のみなさんの協力を得ながら実現につなげたい」とコメントしていた。
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