Uberは、サービスを提供している都市で必ずしも常に歓迎されているとはいえない。新しい地域でサービスを開始しようとして当局に却下されるという状況も何度か経験している。
それでもUberには、この厄介な問題に対する回避策があるようだ。「Greyball」という秘密ツールだ。同社は2014年から、サービスがまだ法的に認められていないにもかかわらず、ドライバーが配車サービスを提供している都市で、当局の介入を阻止するためにこれを利用してきたという。
Greyballはアプリ内のデータを収集し、警察官などの特定の個人を識別してターゲットとする。そうした人物がUberを利用しようとすると、アプリは空車がないと表示するか、存在しないUber車両が登録された偽のアプリを表示する。
つまり、ターゲットとして識別された個人が、絶対にサービスを利用できないようにすることが狙いだ。
Uberの広報担当者は、「このプログラムは、当社のサービス規約に違反する不正ユーザーの配車要求を却下する。ドライバーに身体的危害を加えようとするユーザー、当社の業務を妨害しようとする競合他社、または、当局と結託してドライバーをわなにかけるための秘密の『おとり捜査』を実施する敵対者などだ」と電子メールに記した。
Uberが法的に認められていない都市では、Uberを利用してドライバーに違反切符を切る、車両を押収するといったおとり捜査を当局が仕掛ける場合がある。その捜査の一環として、警察がUberに配車要求を繰り返し試みることがあり、Greyballはそうした警官らを対象とする。
Greyballについては、The New York Times(NYT)が報じていた。Greyballは、ターゲットとするユーザーを識別するために、ユーザーのクレジットカード情報や、ソーシャルメディアのプロフィールなどのオンライン情報も確認するという。
Greyballは地域当局を追跡する以外にも、競合他社がUberの車両を確認できないようにすることや、パリでタクシー運転手らによる抗議運動が発生した場合のような状況でドライバーの安全を確保することにも利用されているとUberは述べている。
NYTによると、UberはGreyballを、米国、フランス、オーストラリア、中国、韓国、イタリア、ケニア、インドなどで利用しているという。同紙は、匿名のUber従業員および元従業員4人からGreyballに関する情報を入手した。Uber社内で約60人が、このツールを知っているという。
UberによるGreyballの利用が合法かどうかは不明だ。しかし、最高法務責任者のSalle Yoo氏や、グローバルオペレーション担当シニアバイスプレジデントのRyan Graves氏を含む、Uberの上級幹部数名が利用を承認しているという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」