共和党系委員が多数派を占める米連邦通信委員会(FCC)は、議論を呼んでいるネット中立性の規則を撤廃するかどうかや、撤廃する場合はどのように進めるかについて今なお明らかにしていないが、すでに同規則の批判を展開して、その効力を弱めようとしている。
FCCは米国時間2月23日に行われた月例公開会議で、顧客が25万人未満のブロードバンドプロバイダーに対するネット中立性の透明性要件を無効にすることの是非について、所属する党の方針に従って投票し、2対1で可決した。これは、民主党のTom Wheeler氏が委員長を務めていた以前の体制下における政策からの転換となる。Wheeler氏の下では、契約者数が10万人未満のブロードバンドプロバイダーに限り、そのような免除を認めていた。
透明性の規則を順守する必要のないブロードバンドプロバイダーの数が増えることになる。1カ月前にFCCの委員長職を引き継いだAjit Pai氏と米議会の共和党議員は、同規則を撤廃する計画について議論している。Pai氏は、FCCが規則を無効にするかどうかや、共和党議員が同規則に代わる新たな法律を作るのを待つ意向なのかどうかを明らかにしていない。同規則を無効にすると、FCCは法的な問題にも直面する可能性がある。2016年に米連邦控訴裁判所が同規則とFCCの権限を支持しているからだ。
しかし、Pai氏は同規則を施行しない意向を示唆している。
小規模なISPは、この透明性規則は費用がかかりすぎると主張しており、Pai氏もこれと同じ意見だ。
Pai氏は次のように述べている。「これらのISPは、限られた資本を米国内の各地方でよりよいブロードバンド環境を整備するために使うべきで、政府が要求する不要な書類を用意するための弁護士や会計士を雇うために使うべきではないと私は確信している」
消費者保護団体は透明性要件の免除について、消費者に害を及ぼすものであり、プロバイダーがインターネットトラフィックを制限している場合、消費者にはそのことを知る権利があるはずだとしている。また、現在3人で構成されるFCCの民主党委員であるMignon Clyburn氏は、顧客が25万人未満の子会社を持つ大手ISPも規則から免除されることになると主張している。
Clyburn氏は次のように述べている。「ブロードバンドサービスに対する基本的な消費者保護策を廃止しようとしている現在の動きの中で、10億ドル規模の公開会社が消費者に対する透明性の確保を免除されることが、多数決によって決められた。これは、消費者本位の取り組みを放棄する一連の措置がさらに歩を進めたことを示している」
共和党のMichael O'Rielly委員は今回の措置を擁護し、下院が1月に同じような免除規定を設けた法案を可決した時には、発声投票で誰も異を唱えなかったことを指摘している。
上院の民主党議員はそれに反対だ。マサチューセッツ州選出のEdward Markey上院議員は、「自分が料金を支払うブロードバンドサービスについて、最も基本的で根本的な情報」にアクセスする権利を、消費者は持つべきだとしている。
「消費者には、価格体系に関する真実の情報が提供されるべきだ。FCCは、ISPが価格情報を隠せるようにするのではなく透明性を促すことで、契約者がブロードバンドサービスについて、あらゆる予備知識を得た上で判断できるようにすべきだ」(Markey氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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