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東芝、綱川社長が会見--「4基の原発受注が減損のきっかけ」

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 東芝は、2017年2月14日に予定していた2017年3月期第3四半期(2016年4~12月)連結業績の発表を延期。第3四半期報告書の提出期限を最大で3月15日とした。

 当初予定されていた時間から2時間30分遅れの18時30分から、東京・芝浦の同社本社で開催された会見で、監査委員会委員長の佐藤良二氏は延期の理由について説明。


左から監査委員会委員長の佐藤良二氏、東芝取締役代表執行役社長の綱川智氏

 「第3四半期報告書を2月14日に提出すべく作成作業を進めるとともに、独立監査人によるレビュー手続きを進行してきたが、1月8日および19日に、ウェスチングハウスによるCB&Iストーン&ウェブスターの買収に伴う取得価格配分手続きの過程において、内部統制の不備を示唆する内部通報があった。これを受けて、監査委員会として内部通報の内容について事実関係の調査を行った。WEC経営者に対する不適切なプレッシャーの存在を懸念する指摘があり、その存否や影響範囲についてさらなる調査が必要との結論に、2月13日午後に至った」現状を説明した。

 続けて「追加調査の報告ならびに独立監査人によるレビュー手続きには30日間の期間を要すると判明した。第3四半期報告書の提出の前提として、内部通報に関する調査の完了が求められている」とし、「現時点では、四半期連結財務諸表に具体的に修正を行うべき事項を認識しておらず、独立監査人からもそのような事項の指摘は受けていない」と述べた。


東芝取締役代表執行役社長の綱川智氏

 東芝の取締役代表執行役社長である綱川智氏は「この期限を待たずに1日も早く提出したい」と述べた。

 この日、東芝が発表した第3四半期累計の業績見通しは、売上高が前年同期比1400億円減の3兆8735億円、営業損失は前年同期比3128億円減のマイナス5447億円の赤字。そのうち、原子力事業ののれん減損としてマイナス7125億円が含まれている。税引前損失4044億円減のマイナス5654億円、当期純損失は205億円減のマイナス4999億円の赤字。そのうちのれん減損、WEC繰延税金資産取り崩しなどで、マイナス6204億円。株主資本は5201億円減のマイナス1912億円としており、債務超過になる。


第3四半期累計の期間見通し

2017年3月末の株主資本、純資産見通し

 なお、のれん減損の7125億円のうち、S&W買収に伴うのれん計上額は6253億円、既存のれん残高が872億円。「WECは、CB&Iとの買収契約で定められた運転資本調整を継続しており、完了していないため、価格調整に関する資産、負債を認識せずにのれんの算定をしている。今後、下方修正の可能性があるとした。


のれん計上額、減損損失計上額の見通し

 原発事業における損失発生に対する経営責任として、綱川氏は、月額基本報酬の返上率を60%から90%に引き上げたほか、取締役代表執行役会長の志賀重範氏が取締役および代表執行役を辞任。ESSカンパニー社長のダニー・ロドリック氏が社長および東芝執行役上席 常務待遇を解嘱。原子力事業部長で執行役常務の畠澤守氏が、月額基本報酬の返上率を30%から60%に引き上げた。その他執行役も返上率を一律10%引き上げた。

 また、2017年3月期通期の業績見通しを修正した。売上高は、11月8日公表値に 比べて1200億円増の5兆5200億円、営業損失は5900億円減の4100億円の赤字、税引前損失は5800億円減のマイナス4500億円の赤字、当期純損失は5350億円減のマイナス3900億円の赤字。株主資本は4700億円減のマイナス1500億円とした。2017年3月末の純資産は、半導体事業の資本対策前として1100億円を確保。「ここはキープしたい」(綱川氏)とした。

半導体事業は「なんでもあり得る」。完全売却も示唆

 東芝では経営再建に向けて、1月27日に、半導体メモリ事業の分社化を発表。20%未満の外部資本を導入するとしていた。

 だが、今回の会見では「今後のさらなる成長に必要な経営資源を確保し、あわせて東芝グループの財務体質を強化するために、柔軟に考えていくつもりであり、マジョリティ譲渡を含む外部資本導入を検討している」と発言。「マジョリティ確保にはこだわらない。多くのオファーをもらっており、将来に向けて、一番価値が出るところと組んでいくことになる」としたほか、「決まったことはないが、なんでもあり得る」として、完全売却の可能性を否定しなかった。

 一方、原子力発電事業については「日本では再稼働、メンテナンス、廃炉を中心に事業を行い、社会的責任を果たす。海外については、燃料、サービスを高収益かつ安定したビジネスとして継続するが、新規プラントでは土木建築部分のリスクは負担せずに、機器供給やエンジニアリングなどに特化。また、戦略的選択肢を検討する」として、ウェスチングハウスの持分法比率を引き下げる考えを示した。

 綱川氏は「米国における4基の原発受注が今回の減損のきっかけにつながっているが、今の数字をみればウェスチングハウスの買収そのものに課題があったといえる」と述べたほか、「東芝の今後の方向性として「社会インフラ、エネルギー、電子デバイスという3つの柱は変わらない。とくに社会インフラに力を注ぎたい。これが今後の東芝の姿になる」などと語った。


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