ソフトバンクグループ(SBG)は1月25日、人型ロボット「Pepper」と周辺機器を自治体に3年間無償で貸し出し、小中学校でのプログラミング教育を支援する「Pepper 社会貢献プログラム スクールチャレンジ」を開始すると発表した。
4月から17自治体の公立小中学校282校に、約2000台のPepperを導入する。立命館と連携してこのプログラムのためのカリキュラムを開発しており、合計9万1000人の児童・生徒がプログラミングを学ぶという。
毎年2月に、自治体が各校のプログラミング授業内で生徒が制作したPepperのアプリケーションや関連する取り組みを発表。SBGは最も優秀な取り組みを選出し、表彰する予定だ。優勝チームはシリコンバレーに招待するという。
ソフトバンクグループ 代表取締役副社長の宮内謙氏は、「ロボットと人の共生が始まる。もうすぐ各家庭、もっと安価になればあらゆるところで共生していく時代が来る。いまの小中学生が30年たって35〜36歳、40代になり、そのころにシンギュラリティに近いことが起こるだろう。ITの力、AIの力をうまく使うと、楽しい生活ができる時代が絶対にくると思っている。30年後を見据えた教育により、人々の暮らしも相当変わる」と語った。
なぜPepperなのか。「古くはBasicで円を描いたりしていた。Pepperならばビジュアルで分かりやすく感動を与えられるのではないか。どうプログラムしたらPepperが動くのか、しゃべるのか。人型ロボットを使ってプログラミングそのものの感動を体験してもらいたい」と説明する。
また、大会の特典について、「シリコンバレーには、あらゆる新しい技術を学生たちがディスカッションし、新しいベンチャーが生まれる循環がある。それを子どものころに見て体験できるようすることも計画したい。感動したことは続く。感動が原動力になって発明につながる」と語った。
プログラミングソフトには、子どもでもPepperのアプリ開発が楽しめる「コレグラフ」を使用する。視覚的なオブジェクトを使い、プログラムのコードを記述しなくてもPepperを動かしたりしゃべらせたりできる。
ゲストとして人気子役タレントの谷花音さんが登場。ソフトバンクグループ CSR グループマネージャーの池田昌人氏の指導のもと、生徒役としてプログラミングに挑戦した。まずはPepperが「こんばんは」と挨拶し、手を挙げるという動作をプログラミングする。動作が定義されたオブジェクトを選び、Pepperがしゃべる言葉を入力。さらにボックスとボックスをつないでいくビジュアルプログラミングにより、数分で出来上がった。
続いて「大好きな人へメッセージを贈る」という課題に取り組んだ。最初の動きを踏襲しながら、「今度はお辞儀しながらしゃべりたい。どうすればいいですか?」と聞き、さらに応用をきかせた動きもあっさりとこなした。終わった感想を聞かれると、「思ったよりすごく簡単。もしPepperが学校にいたら楽しいし、お友達と取り合いになりそう」と笑顔で語った。
なお、このプログラムの支援総額は約50億円となり、これまでのSBGの社会貢献活動としては最大規模という。
同日、SBGと立命館は、教育分野における包括連携協定を締結したと発表した。初等中等教育におけるICT活用の促進と教育環境の整備および質の向上を目的としている。
立命館 理事長の長田豊臣氏が登壇し、「ソフトバンクグループと組む最大の魅力は人型ロボットPepperを活用できること。質の高いアクティブラーニングができる。ロボットの社会進出によって、プログラミング教育の需要は一層高まる。人型ロボットが素晴らしいのは、子どもたちと友達になれること。2016年6月、立命館小学校にPepperが来たとき、友達や先生に挨拶するのと同じようにPepperにも『おはよう』と声をかける印象的な場面があった。友達とコミュニケーションするような、楽しい出発点にした教育が実践できる。感情でつながる教育が、人間とロボット双方の可能性を広げる」とコメントした。
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