KDDI総合研究所、静岡大学、今治市、京セラドキュメントソリューションズは1月24日、ICTを活用したアクティブ・ラーニングの授業において、記述や発話といった学習記録データを収集・分析し、それらに基づいた学習評価や授業評価につながるソリューションの有用性を検証するための実証研究を開始すると発表した。
研究期間は2017年1月~3月(準備期間は2016年9月~12月)。実施校は、今治市立の波止浜小学校、波方小学校、北郷中学校の3校。
アクティブ・ラーニングでは、多数のグループに分かれて話し合うため、児童生徒全員の学びのプロセスと学習効果を1人の教師で記録・分析するのは困難であり、アクティブ・ラーニングの授業改善や個に応じた指導が難しくなっている。そこで、今回の実証研究では、ICTと先進のアプリツールを活用し、教師に学習記録データの分析結果を提示。アクティブ・ラーニングの実践と継続的な学習活動の振り返りを支援する。
アクティブ・ラーニングの学習活動の中でも、特に小グループによる対話活動におけるデジタルワークシート記述と発話を対象としている。授業内でのグループワークの中で、児童生徒達の記述と発話を学習記録データとして蓄積し、それらの変化や推移を自動的に分析。話し合いのプロセスを可視化することで、教師に対して指導と評価の一体化を促すという。
また、ジグソー授業など、授業中にグループ編成が変わる授業にも柔軟に対応できるアプリを開発。各生徒の発話内容を録音してデータを収集し、1人ひとりの学習内容の理解状態を推定する。授業の開始時点から終了時までの間にどれだけ理解が深まったのかを測定するため、ワークシートの記述の変容から学習成果を測定する。これら発話データと記述データを組み合わせて分析することで、多数のグループの学習効果の評価や、授業改善への効果を検証する。
実証研究での役割について、KDDI総合研究所は、これまで培ってきた音声言語データ処理技術を活かして、生徒の学習記録データを分析するためのアルゴリズムを提供。分析・評価のアプリツールの開発に参画する。静岡大学は、授業で取得する学習記録データの分析理論や学習プロセスの可視化について、京セラドキュメントソリューションズとKDDI総合研究所の指導にあたる。
今治市は、次期学習指導要領を見据えて、思考ツールとICTを活用した21世紀型スキルを育むアクティブ・ラーニングを進め、児童生徒の学習記録データの分析結果を用いて授業改善や個に応じた指導の充実を図る。京セラドキュメントソリューションズは、情報機器の開発・サービスを通じて培ったソフトウェア開発、ITサポート能力を生かし、効率よく学習記録を残せる技術を提供。実証研究をするためのシステム環境の整備など、ICTに関するサポートもする。
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