渋谷区とヤフーが災害情報発信で連携--「Yahoo!防災速報」で地震・台風情報などを配信

 渋谷区とヤフーは1月23日、渋谷区に関する災害情報発信を強化するため、「災害に係る情報発信等に関する協定」を締結したと発表した。

渋谷区長の長谷部健氏、ヤフー副社長執行役員 最高執行責任者の川邊健太郎氏
(左から)渋谷区長の長谷部健氏、ヤフー副社長執行役員 最高執行責任者の川邊健太郎氏

 政府の地震調査委員会によると、今後30年以内に70%の確率でマグニチュード7クラスの首都直下型地震が発生するといわれている。渋谷区で直下地震が発生した場合、死者250人、負傷者約5000人、全壊棟数約5800棟という被害が想定されており、鉄道などの交通が停止した場合の帰宅困難者数は約22万人(都内では約517万人)になるといわれている。

 両者は協定の締結にともない、スマートフォンアプリ「Yahoo!防災速報」を通して、渋谷区が発信する地震や台風接近などの緊急災害情報や避難所の開設状況などを配信する。アプリを起動していなくとも、渋谷区が発信したタイミングでスマートフォンに通知が届くほか、災害時には渋谷区のウェブサイトや渋谷区防災ポータルサイトのキャッシュサイトを用意。アクセスが集中しても閲覧しにくい状況を回避できるという。

緊急災害情報の通知画面
緊急災害情報の通知画面

 渋谷区長の長谷部健氏は、「災害はなるべく減災するのが大切だが、その後の復興についてどのようにプログラムを組むかも重要となる。渋谷区は昼間人口がとても多く(人口22万人に対し昼間人口は50万人)、3.11の時は多数の帰宅困難者が発生した。その人たちにどうやって情報を提供するかが重要な問題となる」と説明。

 ヤフーとの協定締結に関しては、「区が情報を発信しなければならないが、区単体だと力が及ばない。ITの雄であるヤフーと組み、最先端を走る企業からいろいろ学ばせてもらいながら、区に訪れる人の安心安全の担保になれば」と語った。また、900万人のユーザーがYahoo!防災速報を利用していることもメリットだとした。

 東京23区では、渋谷区は中野区、豊島区に次いで3番目、全国の自治体では59番目の連携となる。ヤフーでは、1~2年のあいだに東京23区すべてと協定を締結し、災害情報発信の強化につなげるとしている。なお、渋谷区からの通知を受け取るには、アプリの設定画面から「現在地連動通知の設定」をオンにするか、「地域の設定」から「渋谷区」を事前に選択する必要がある。

 実際に活用されたケースとして、初めてYahoo!防災速報と連携した福岡市では、博多駅前陥没事故の際に、緊急情報として事故に関する続報が配信されたという。提供する情報は、自治体側が自由に設定でき、ニュースにはならないような小さな情報をリアルタイムに配信できることが強みだとしている。

「Yahoo!防災速報」の情報配信システムを使い、自治体独自の情報配信が可能
「Yahoo!防災速報」の情報配信システムを使い、自治体独自の情報配信が可能

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