旅先の街に着いたものの、ホテルのチェックインまで少し時間がある。時間潰しに観光でもしようかと、駅や街中のコインロッカーを探してみても、空いているロッカーが見当たらず、なかなか重たいスーツケースを預けられない――。そんな“コインロッカー難民”を経験したことがある人は少なくないはずだ。
こうしたコインロッカーにまつわる悩みの解決を目指して、1月18日にサービスを開始したのが、荷物の一時預かりシェアリングサービス「ecbo cloak(エクボ クローク)」。荷物を預けたい人と、荷物を預かるスペースを持つカフェや美容院、レンタサイクルなどの店舗をつなぐサービスだ。まずは東京エリアから展開し、当初は「宇田川カフェ」や「カフェマメヒコ」など100店舗以上で預けられる。
ecbo cloakの使い方はこうだ。ユーザーは、スマートフォンで荷物を預けたい場所を選び、日時と荷物の個数を指定して預け入れスペースを予約。当日店舗に行って荷物を預けると、店舗スタッフから荷物の写真入りの証明メールが届く。これがクロークで言う「番号札」の代わりとなる。
観光を終えて、店舗で証明メールを提示して荷物を受け取ると、ユーザーが事前登録しておいたクレジットカードによるオンライン決済が発生し、領収書メールが届くという流れだ。料金は、荷物の最大辺が45cm未満の「手荷物プラン」が1日300円、最大辺が45cm以上の「スーツケースプラン」が1日600円。
ecbo cloakでは、荷物を預けるスペースまでの最短距離を地図上に表示するほか、リアルタイムでスペースの空き状況を確認できる。また、店舗内のため大型(90リットル以上)のスーツケースも預けられることが特徴。これにより、「どこにあるのか分からない」「空いていない」「大型の荷物が入らない」といった、既存のコインロッカーの課題を解決できるとしている。
ecbo代表取締役の工藤慎一氏は、2014年にUber Japanのインターンシップとして最先端のシェアリングエコノミーサービスに触れた後、2015年6月にecboを設立。当初は、デリバリー型のトランクルームサービスを開発していたが、ある日、渋谷で訪日外国人から「スーツケースが入るコインロッカーを探している」と相談され、一緒に40分近く探したものの見つからなかった体験から、荷物を一時的に預けられるecbo cloakを着想し、サービスを一から作り直したという。
「渋谷などの都市では、コインロッカーの需要に対して供給が間に合っていない。また大型のスーツケースが入るロッカーになるとより少ない。ecbo cloakによって荷物を簡単に預けられれば、旅行者はより長く観光を楽しめるにようになる」(工藤氏)。
サービスを利用する観光客は、全国各地の飲食店やショップに荷物を預けることで、ガイドブックには載っていないその地域のユニークな体験や情報が手に入るきっかけを得られるとしている。一方の契約店も、遊休スペースを活用して新たな収益を得られる。試験的にある飲食店にサービスを提供したところ、1週間で30組ほどのユーザーが荷物を預け、そのうちの約3割がそのまま店舗内で飲食もするなど、期待以上の効果を得られたという。
ユーザーと店舗間のトラブルを減らすために、UberやAirbnbのように、双方が評価し合える機能を搭載しているほか、チャットでのサポートもしている。また、もし荷物を受け取りに来ないユーザーがいた場合には、事前登録したクレジットカードから超過料金を差し引くなどして対処する。
同社では2017年度内に、京都や大阪など全国1万店舗の契約を目指す。また、現在はウェブサイトのみで提供しているが、スマートフォンアプリも順次公開する予定。将来的には、荷物を預けた店舗のクーポンを得られる機能や、Wi-Fiルータをレンタルできるサービス、さらには空港からデリバリーでホテルに荷物を届けるサービスなども検討していきたいとした。
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