パイオニアは11月10日、2017年3月期第2四半期(7〜9月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比16.3%減の950億6800万円、営業利益は同43.3%減の11億4000万円、経常利益は同59.7%減の8億500万円となった。販売管理費の減少や原価率の良化があったものの、円高の影響を受け、減収減益となった。
第2四半期連結累計(4〜9月)では、売上高が同14.5%減の1903億9700万円、営業利益が同27%減の15億1600万円になるが、経常利益は微増の28億2800万円になり、黒字化を達成。前年同期、計画ともに上回った。
セグメント別では、カーエレクトロニクスの売上高が同13%減の783億円、営業利益が4億円悪化の17億円となった。市販カーナビ市場は堅調に推移したものの、OEM市場でのカーナビ、カーオーディオが海外で減少。円高の影響も大きかったという。今期のOEM比率は前年同期と同じ59%になっている。
その他セグメントでは、売上高が同28%減の167億円、営業損益は12億円悪化し、マイナス6億円となった。光ディスクドライブ、FA機器の減少に加え、こちらも円高の影響を受けた。
ただし、両セグメントともに原価率は2億円ずつ良化しており、「長年コストダウンに取り組んできたが、成果が出てきた」(パイオニア代表取締役兼社長執行役員の小谷進氏)としている。
会見では現在のトピックスとして、9月に発売した「マルチドライブアシストユニット」を紹介。パイオニアのハイエンドナビシリーズ「サイバーナビ」と組み合わせて運転を支援するもので、自動ブレーキなど純正市場での装着が進む中、異例の市販モデル投入となる。
小谷氏は「現在、純正で搭載されている自動ブレーキは、ぶつかる瞬間に自動でブレーキがかかるというもの。マルチドライブアシストユニットは、危険な場面になる前にドライバーに警告する、ブレーキを踏む前に警告することが、安心安全の形ではないかと考えている。これはパイオニアが10年来取り組んできたプローブデータなどの実績があるから実現できるもの。今までの取り組みがいよいよ商品に搭載され、回収できるようになった」と説明する。
純正が主流の市場に投入することに対しては「日本にある自動車の数は大体8000〜9000万台。それに対し新車の販売台数は400〜500万台。今ある自動車すべてが運転支援対応に切り替わるには、単純計算で約20年かかる。その間を埋める役割が私たちにある」とこの時期に投入した理由を話した。
現在、ハイエンドクラスのサイバーナビに搭載されていることもあり「利益的にも大変収益性の高い商品。今後の課題はいかにボリュームゾーンにおろしていくか。エントリー向けの『楽ナビ』シリーズなどへの搭載が次のチャンスだと感じている」(小谷氏)と将来を見据える。
第2四半期では減収減益となったものの、売上高、営業利益は、計画通りに進捗していると認識しており、2017年3月期通期の連結業績は、売上高で前年同期比11%減の4000億円、営業利益は9.5%増の80億円、経常利益は3.4%減の70億円、当期純利益は1.4倍の10億円と、前回予想を据え置いた。
パイオニアでは、メキシコに新たな生産拠点の設立を発表しており、2017年2月に稼動を開始する予定だ。大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利したことを受けての影響を問われると小谷氏は「心配している。メキシコの生産拠点は、メキシコに約30万台ある市販マーケットと、米国向け自動車メーカーの生産拠点になる予定。今後の政策を受け、自動車メーカーがどう動くかが注目点になるだろう。この工場は年間200万台のヘッドユニットを生産できる能力を持ち、スピーカも合わせて生産しようと思っている。うまくいってくれることを願っている」とコメントした。
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