Qualcommは米国時間10月27日、NXP Semiconductorsを470億ドルで買収すると発表した。これによりIoT市場と自動車市場におけるより幅広い展開を目指す。
Qualcommは、470億ドルというNXPの企業価値に対して、1株あたり110ドルの現金を支払う。なお、オランダに拠点を置くNXPは、2015年3月にFreescale Semiconductorの買収を発表し、12月に買収を完了している。
今回の買収によって、ミックスドシグナルチップ(デジタル回路とアナログ回路の双方を搭載した集積回路)を製造するNXPが持つ、マイクロコントローラや自動車、ネットワーク、セキュリティといったさまざまな市場における存在感と、Qualcommのモバイル市場での知名度の高さが組み合わされることで、IoT市場やスマートシティ市場などにさらに注力していくための準備が整うことになる。
合併後の企業の年間売上高はおよそ350億ドルになると見込まれている。
詰まるところ、QualcommはNXPの買収によって、スマートフォン市場の飽和にともなって成長が鈍化しているモバイル分野にとどまることなく、多角化を進められるようになる。NXPの買収が完了した暁には、Qualcommのモバイル市場からの売上高は現在の61%から48%に低下する。なお、買収後は自動車市場とIoT市場からの売上高が29%になる見込みだ。
Qualcommの最高経営責任者(CEO)Steve Mollenkopf氏は電話会議において、NXP買収の大きな理由は自律運転車にあるとして以下のように述べた。
われわれは、Qualcommが誇るコンピュート分野とマルチメディア分野での専門性と、NXPの持つ成熟した車載インフォテインメントシステムや、自動車へのセキュアなアクセス、車体および車内のネットワークや安全性といった分野でのリーダーシップを組み合わせ、自動車分野における複数の垂直市場を大きくリードしていくことになる。
同氏はその後、以下のように説明した。
自動車分野とIoT分野に対するわれわれの見方は、2000年頃に私が携帯電話に対して抱いていたものと非常によく似ていると考えている。つまり、自動車分野とIoT分野におけるテクノロジとイノベーションのペースは、大きく飛躍するということを意味している。私はこの買収を、われわれが持つモバイル分野のテクノロジロードマップを拡大する途方もなく大きな機会だと捉えており、これにより2つの分野が実際に進展していく、あるいはそういった機会が推し進められていくと考えている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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