音楽SNS「nana」、“こだわる人”向け有料プラン導入--収益基盤強化で海外を目指す

 nana musicは10月19日、音楽SNSアプリ「nana」のiOS版において、月額580円の有料会員サービス「nana プレミアム」を開始した。

nana music代表取締役社長の文原明臣氏
nana music代表取締役社長の文原明臣氏

 nanaは、「歌」を基軸としたSNSアプリ。ユーザーは、スマートフォンのマイクを使って簡単に歌を投稿でき、それに他のユーザーがコメントを付けたり、「拍手(お気に入り)」を送ることができる。また、投稿された作品に重ね録りすることでセッションできるなどユーザー同士の交流も活発で、コミュニティも多く形成されているほか、「nanaフェス」などの公式イベントやユーザー発の非公式イベントも数多く催されている。

 nanaプレミアムでは、「拍手数順検索」「プレミアムエフェクト」「固定サウンド」の3つの機能を提供する。拍手数順検索は、文字通り拍手数が多い投稿順にソートできる機能で、人気の投稿を手早く追うことができる。食べログやPixivなどのソート機能と同様のものだ。

 また、プレミアムエフェクトでは7~8種類のフィルタをすでに提供しているが、今回、録音した音を重ねて音に厚みを持たせる「Doubler」、電話のようなひずみを加える「Telephone」、音が明瞭になる「Sunshine」の3つを提供する。フィルタは定期的に追加していくとしている。

 固定サウンド機能は、ユーザー自身のプロフィール内に任意の投稿を登録するもの。今までは、ユーザーのプロフィールを閲覧した際に一番最新の投稿順でしか表示されなかったが、プロフィールページを訪れたユーザーに聞かせたい投稿をトップに指定できる。Twitterの固定ツイートと同様で、“こだわりたい”人向けの機能といえる。

  • フィルター機能を強化

  • プロフィールに任意の歌を設定可能

  • 拍手順でソート可能に

 一般的には、10代へのマネタイズは難しいと言われている。nana music代表取締役社長の文原明臣氏は、「10代向けにサービスを展開する企業にヒアリングしたところ、意外と有料プランがうまく回っている話を多く聞いた」という。実際には親が支払っているケースが多く、500円程度であればお小遣いの範疇で支払っても問題ないという声が多くあったとしている。また、10代のユーザーにアンケートを取ったところ、LINEスタンプに課金するユーザーが多く、スマートフォンのアプリに関しては課金に抵抗がない人も一定数いたようだ。

 文原氏は、「どのぐらいのユーザーがnanaプレミアムを利用してくれるかは分からない」としつつ、「やってみないとわからない」とマネタイズの一歩を踏み出すことにしたという。同プランは、ユーザーから要望の多い機能を中心に、月に1回程度機能追加していく予定だとしている。

目指すは海外ユーザー率9割のSNS

 nanaは、中学生・高校生を中心に現時点で250万ユーザーを突破。海外の割合も増えており、タイ、ベトナム、インドで急速に伸びているという。nanaは多くの国でローンチしており、1カ月以内に実際に投稿があった国は113に上る。

 また、手つかずだった海外でのプロモーションも強化。App StoreやGoogle Playストアでのアプリ紹介を、ABテストを繰り返しながらブラッシュアップすることで、米国でユーザー数が増加。インド版Google Playストアのミュージックアプリランキングで、200位台から10位台に浮上したという。

 アプリ自体の見せ方も国によって変えている。nanaは、歌による二次創作を楽しむというルーツを持っているが、これは日本特有の文化であり、「シェア」という言葉で表現するのが難しかったという。そこで、国の文化に合わせて単語を抽出し、一部では「レコーディングアプリ」として打ち出している。まずは録音して歌を投稿してもらい、その後にコラボ機能を使ってもらう方向に変えている。

 nanaでは、新プラン以外にも収益基盤を築くべく、動画広告、タイアップ企画、コンテスト、オーディションなどを本格化。現時点では、日本ユーザーがメインのためマネタイズは国内で実施する。最終的な目標として、ユーザーの海外比率を9割にまで引き上げたいとしており、文原氏の目標である「世界中の人々とセッションする」を実現していく。

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