経済産業省とIoT推進ラボは、ビッグデータの利活用・人材育成を目的とした、「第2回ビッグデータ分析コンテスト」の審査結果と受賞者の表彰式をCEATEC JAPAN 2016にて開催した。
IoT推進ラボは、IoT、AI、ビッグデータなどを活用した先進的なプロジェクトの創出を目指し、企業連携、資金、規制面での支援のほか、規制改革や制度形成などの環境整備に取り組む組織。ラボでは、ビッグデータ分析コンテストのほか、先進的なIoTプロジェクトを選定して強力にバックアップする「IoT Lab Selection」、企業や自治体とのマッチングを図る「IoT Lab Connection」などを実施している。
コンテストは、提供されるデータ、参加者が自由に収集したデータから、とあるマスキングされた項目の予測精度を競うもの。学生も含め広く応募しており、優秀なデータサイエンティストの発掘、企業とのマッチングを目指す。今回は、「流通・小売」をテーマに、「売上予測部門」と「新商品開発部門」の2部門に分かれて参加者を募集。応募総数は160人で、20代が半数弱を占めたほか、57%が大学院を卒業していたという。
使用するデータは、ローソンが提供するオリジナル菓子47種類、健康菓子26種類の商品特性情報といった商品データ、コンテスト用にサンプリングした約1400の店舗データ、対象菓子の過去12カ月分の店舗別・男女別・年代別の月間販売数データなど。また、健康志向食品を中心とした原材料・成分などの「食品情報データ」、健康食品に関する語句を含めた投稿件数の推移などの「SNSデータ」も含まれる。
なお、コンテストの設計にはオプトが参加しており、同社のデータプラットフォーム「DeepAnalytics」を使用。予測モデルは何度でも申請可能で、ほかの参加者の予測モデルと精度を比較できる。これにより、参加者同士の競争心が生まれ、申請回数を重ねるごとに全体的な予測モデルの精度も上がってきたという。
売上予測部門の「最高予測精度賞」には、同志社大学文化情報学部3年の藤澤将広さんと後藤智紀さんのチームが選ばれた。「Xgboost」を使って、地方区分、立地の種類、商品データ、形態素解析によって抽出した説明文や原材料の名詞、各性別年齢層における販売量の割合を変数として使用。勾配ブースティングを用いた売上予測モデルを構築した。また、「モデリングアイデア賞」には、外部データとして地方ごとの人口、大学数などを変数として利用した漣洋平さんが受賞した。
新商品開発部門では、「ローソン賞」として、ビジネス立地向けに手を汚さずにお腹が膨れるものが好まれることを導き出し、商品名「大麦と玄米のサクッと米菓 上品なチョコレートとともに」を提案した石原智哉さんが受賞。また、コンジョイント分析によって売り上げへの影響因子を特定し、乳酸菌、カロリー、小麦、シンプルな味付けが好まれる傾向から「ヨーグルトクリームサンド」を提案した高田秀人さんが「データパティシエ賞」を受賞した。
受賞結果について経済産業省商務情報政策局商務情報政策統括調整官の吉本豊氏は、「IoT、AIは単に製造業や理科系のものではない」とした上で、「データが我々日常のすべてを変えるポテンシャルを持っている。文科系理科系老若男女問わず分析できることが日本を変える力になると思っている」と述べた。また、コンテストの第3回目も検討中だとしている。
最高予測精度賞には賞金10万円と美容家電一式、モデリングアイデア賞、データパティシエ賞には、賞金10万円が贈呈された。また、ローソン賞には、からあげクン1年分のクオカード(8万円相当)が贈られた。今回副賞として、アクセンチュア・アナリティクス部門の最終面接権を獲得でき、最高予測精度賞を受賞した2人は面接権を希望したという。
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