聞こえやすい環境を支援する「comuoon」に新製品--補聴器以外の選択肢

 ユニバーサル・サウンドデザインは、補聴器とは異なる“聞こえ支援機器”「comuoon(コミューン)」に、バッテリを内蔵し持ち運びを可能にした「comuoon mobile」を追加した。11月24日から予約を受付、12月26日に販売を開始する。価格はオープンで、想定価格は現在未定だ。


「comuoon mobile」

 comuoonは、アンプを内蔵したスピーカとマイクで構成する卓上型の対話支援システム。2013年時点で日本に約1500万人いるとされる難聴者向けの製品だ。従来は補聴器が一般的とされていたが、難聴を自覚している人でも、補聴器の使用は7%程度にとどまっている調査結果も出ており、耳に装着する補聴器を苦手とする人は多いという。

 そうした現状を受け、開発されたのがcomuoonだ。難聴者に装着してもらうのではなく、話す側(話者)がマイクに向かって言葉を発することで、聞こえやすいクリアな音をスピーカから再生することが可能。話者が歩み寄ることで、聞こえやすい環境を整える。

 2013年12月に「comuoon」を発売して以降、ワイヤレスマイクを接続できる「comuoon connect」、PCの音を聞こえやすくする「comuoon connect Type PC」、テレビの音を聞こえやすくする「comuoon connect Type TV」、卓上マイクを付属する「comuoon SE」など使い勝手に応じた製品を開発してきた。

 comuoon mobileは、持ち運びを実現したポータブルモデル。高さ93mm×幅93mm×奥行き125mmのスピーカ部に、バッテリとアンプを内蔵し、約3時間の充電で約4時間の使用が可能。アンプは、声の聞こえやすさはそのままに、モバイル向けに最適なものを新日本無線、佐賀エレクトロニックスと共同開発した。

 電源オン、オフや音量調整などは、回して使用するロータリータイプにすることで、よりシンプルな操作方法にしたとしている。microUSBを使って充電ができる。

  • comuoon connectのトランスミッタによりデジタル伝送が可能

  • ユニバーサルマウントを設け、カメラの三脚などに装着もできる

  • 話者がマイクを装着し、話すとスピーカから聞こえやすい音が再生される仕組み


ユニバーサル・サウンドデザインの代表取締役中石真一路氏

 ユニバーサル・サウンドデザインの代表取締役である中石真一路氏は「comuoonは、ユニバーサル・サウンドデザインがはじめて手掛けたプロダクト。当初は『補聴器があるから大丈夫』となかなか理解が得られなかったが、補聴器を苦手とする人もおり、完全ではないことがわかってきた。comuoon mobileは、営業の際に持ち歩きたい。往診のときに使いたいというニーズを受け開発したもの。3年近くの歳月をかけ、がんばって作ったモデルだ」と開発の経緯を話した。

 ユニバーサル・サウンドデザインは、2012年に設立した聞こえ支援機器の設計、開発や、店舗や建築物のサウンドデザインなどを手がける会社。そのデザイン性からcomuoonは「2014年度グッドデザイン賞ベスト100」にも選ばれている。

 同日には、韓国でプロオーディオ機器などを手がけるBESCO S.I(ベスコ)と業務提携をし、韓国での販売を開始することも発表した。これはcomuoon初の海外展開になるという。

 2016年4月に施行された「障害者差別解消法」に向けた対応として、聴覚障害者向けコミュニケーション支援機器に採用されており、佐賀県、東京都においては、助成事業としても採択されているとのこと。すでに、学校や病院、福祉施設などのほか、一般企業や行政機関など、2600カ所で利用されている。


韓国BESCO S.Iとの業務提携も発表。韓国でも販売を開始する。左からBESCO S.Iの代表取締役社長であるキム・ヨンベ氏、ユニバーサル・サウンドデザインの代表取締役中石真一路氏

「comuoon」のラインアップ。ワイヤレスマイクも参考展示されていた

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